PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

曰く「誰が何とゆおうとグラオ・クローネだぞ」
 ――このテンションで来るのは二度目だろうか。
 ハート型の桶を持ち、何故か迷彩服を着て、後ろに引っ張って来ているのはジャラジャラと音が鳴る大きな袋。
「ハッピー晴れ舞台ーーん!!」
 そう言って厨房をドガッと開けたのは深海・永遠だった。
「またかよ!!」
 静寂が訪れるはずだった昼時の洋館に永遠がやってきて、クウハは驚いた。
「グラオ・クローネの時期だもんな!!」
「過ぎてるわボケ」
 ニアピンすらしていない謎の格好。袋から桶に移された中身は、枝豆だった。
「クウハにお菓子つくってやんよ!」
「まさかとは思うが、枝豆だからチョコになるとか思って無いよな?」

「……ならないの?」
「ならねェよ。全部の豆がチョコになってたらこの時期苦労しねェわ」
「まー潰すかー、せめてずんだのお菓子にしよーぜ」
 怪力でゴリゴリ枝豆を潰す永遠。
「せめてずんだにしようとするぐらいなら茹でるとか皮剥くとかしろよ!」
「材料100%使うのがおれのポリシーなの!」
 ペーストになった枝豆に砂糖やらシナモンやら足していく永遠。なお、再現性東北地方でずんだに本来使われるのは夏に採れる豆なのだが、これはいつの豆なのだろうか。

「何か怪しい色になってきたな……」
 クウハは心配そうにボウル代わりの桶の中身を見つめる。だが永遠の作業は最終段階に突入していた。
「で、ここでこれをいれるとー」
 入っていったのは、カレーパウダー。
「あらふしぎ! なんか茶色い! な、チョコになったろ?」
「……食べるんだよな? それ?」
 クウハは少しだけ身震いし始めた。
「あとちょっとだけお湯をたしてー」
「オイ! 聞けよ!」

 出来上がった茶色いデロデロの物質。シャイネン・ナハトに作ってくれたイクラ軍艦の方がまだマシだったかもしれねェと思いながら、クウハは口にソレを運ぶ――。
「……カレールーだな、これ」
「え? なんで? チョコじゃないのかー?」
「永遠お前なぁ、カレーパウダー入れ過ぎなんだよ……ま、これはこれで米があれば普通に美味しいじゃねェか」
「……そっかー、チョコじゃないかー」
「豆入りカレーだな」
「おれ、クウハにチョコ食わせたかったんだけどなあ」
 どこか落ち込んでいる永遠。
「……友チョコだろうが義理チョコだろうが、いつか市販品で持って来ればいいだろ?」
「ん! それもそーだな! じゃあしゃーないから市販のチョコ買ってくるなー!」

 どったんばったんと退室していった永遠。

「……ところで、この桶なんでハート型なんだ?」
 形の意味を理解したクウハは、永遠の帰りを待つ事にした。
「流石に義理だよな?」
 直後、永遠が持って来たチョコは、大きなハート型だったとさ。
執筆:椿油

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