PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

続・クウハシェフの日替わりパスタ
 森の洋館の中を警らしているクウハ。たまに、何か良からぬモノが入り込んでいないかチェックしているのだ。
「この前なんかは割とヤバい亡霊……いや暴霊が奥の部屋で暴れてたしな」
 まあ結局はクウハが反省するようにシバいて、今やこの森の洋館の一員になっているのだが。

「お、姫さんじゃねェか」
 困惑した顔で、お皿を持ってミレイがクウハへ近づいて来た。クウハはその皿に見覚えがあった。
「……それ、永遠が食べ残したやつか?」
「うん。『ごめんなミレイちゃん、やっぱアサリ無理だったなむなむ』って祭壇で言ってたの」
「アイツ結局アサリ食べられなかったか……で、見るからに姫さんは食べられたみたいだな?」
 祭壇を通して、幽霊のミレイが食べられるようになっていた料理の皿は綺麗になっていた。
「大丈夫だったよ。これ、厨房に返した方がいいよね……?」
「いや、俺が責任持って返してくる」
「……そう? ありがとう、クウハ」

 お皿を一枚受け取ると、早速ゴースト達が割りたそうに興味を示してくるのでガードしながら厨房へと戻る事にした。
「今度からアサリのパスタは無しだな……っていうか『なむなむ』ってどこの祈り方だ?」
 厨房に入ると――冷蔵庫を漁っている、永遠が。
「おっ、クウハどうしたんだー? あれそれミレイちゃんにあげたお皿じゃん、何でクウハがもってんの?」
「お前が残したんだろうが」
「そうだったごめんごめん! いやーやっぱり刻んでもアサリは友達だから無理だったぽい!」
「海産物系全部食べられないのかよ、永遠」

「……いや? ワカメとか昆布ぐらいだったらいけるぞ?」
「何でだよ?」
「草だから!」
 海藻は友達じゃないらしい事が判明した。

「――って事はワカメのパスタなら食べられるんだな?」
「まあなー! 作ってくれんの!?」
「自分でワカメ獲って来たら考えてやらねぇ事もないな。わざわざお前の大量のパスタと一緒に材料は買わねぇよ」
「分かった! じゃあ今から獲ってくるーー!!」
 ダッと走って外へ向かう永遠。
「おい待て待て、お前素足だよな?」
 クウハが永遠の肩を掴む。
「……そだけど?」
 ほけ、と永遠は頭を傾げていた。
「ちゃんと屋敷の前で足拭けよ」
「うん! いつも拭いてるからだいじょーぶ!」

 何故だか、永遠には甲斐甲斐しく世話したくなってしまうクウハ。きっと放っておくと何しでかすか分からない、といった勘が働いているのだろう。
「それじゃあ行ってきまーーす!!」
「……そうだ。お前、なむなむってどういう意味だ?」
「え? 祈る時はなむなむって言うといいってばっちゃがゆってた」
 ――永遠が「ばっちゃがゆってた」と言う時は、不特定多数の誰かから偶然聞いて耳に入った時である事をクウハは知っていた。
「……ま、いいか。怪我して帰ってくんなよ」

 永遠が居なくなると、途端に静けさが増す洋館。厨房の水滴の音ぐらいしか聞こえてこない。
「アイツ、ゴースト並に騒がしいな……ん? そういや冷蔵庫覗いてたよな……」

 嫌な予感がしてきた。冷蔵庫を開けると、クウハが後で食べようと思っていたおやつの類いが、根こそぎ綺麗に食べられて包みだけ残っていた。
「――永ぉぉ遠ぁぁーーー!!」

 その頃、海まで猛ダッシュ中の永遠はやっと思い出した。
「あっやべ! おやつ食べちゃったごめんなって言うの忘れてた!!」
執筆:椿油

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