PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

七夕と言えば素麺、素麺と言えば流し素麺、流し素麺と言えば……
「バトル・ロワイアルだ!」
 楽しげにニヤニヤ笑うクウハは練達式流し素麺機ロングDX改良型の隣で上機嫌だ。
 ちなみにこれをもっと大人数で楽しめるよう、魔術でコース延長したりした京司と商人は観戦の構えだ。
「クウハさんは大切な人ですが、今日だけは敵。手加減はしませんよ……!」
 あまり食卓にあがらない素麺を前にハンナもやる気充分だ。
「……おっと、上流ルートを狙えるのは俺たちも同じだと…忘れないで欲しいな。ね、ラスヴェート………?」
「はい、頑張ります!」
 ヨタカも飛行能力を生かして息子のラスヴェートを抱え、タッグを組んで準備をしていた。
「一見、上流ルートは最有利ダガ……」
「それでも逃してしまうものだってあるはずだ」
赤羽・大地は下流ルートを陣取り、ハイエナ作戦を狙っていた。
「奇遇ですね、僕もそのつもりでした。つまり、このルートを陣取ったからには、反応値と命中率が物を言うということですね?」
鏡禍もノリノリで赤羽たちの反対側へ回る。
「それじゃあ、漁夫の利でも狙っていきましょうかね……」
 呟きながら滝壺と下流の境目にやって来たのは、彩陽だ。
 最後にクウハが狙っていたルートにつき、箸と椀を構える。
 全員笑っているが、子どもが混じっていようとも手加減する気はゼロ。
 なにせこれは七夕の夕飯代わりでもあるからだ。
「それじゃあ、名誉ある投入係を拝命したわたしルミエールとフルールちゃんが宣言するわ」
「ゲームスタート! …です!」
 大人も子ども楽しく本気な流し素麺バトル・ロワイアルが始まった。
 ちなみにバトル非参加者の為に色つきと味違いの素麺はテーブルにセットされている。
 そしてその素麺をフーガと望乃、そして商人は素麺バトル・ロワイアルを観戦しながら食べていた。
「甘い……。これは、むらさき芋?」
「あ、甘いのも美味しそうですね。こっちはちょっと酸味がありました」
「そいつはブルーベリーかな? ヒヒ、意外かもしれないが胡麻や豆乳が合うと思うよぉ」

 こちらも観戦しながらファニアスは副菜として用意されていた蒟蒻の稲荷をえくれあ、カトルカールと並んで食べていた。
「みんな、がんばれー!」
「そうだよ~、はりきって~♪」
「あれの何が楽しいんだ……?」
 反抗期の入り口にいるカトルカールには楽しさがいまいち伝わらず、反応に困っていた。
 最初から七夕スイーツにしか興味のなかった京司と真砂は並べてあるものをとりあえず、1個ずつ食べ比べしていた。
「こっちの寒天ゼリー、見た目と同じくらい味のグラデーションが美味しい。スイカからレモンだ」
「良いですね、原料もちゃんとフルーツからだと伺いましたよ」
「あ、そろそろ決戦かな。行こうか」
 大盛況のバトル・ロワイアルへふたりも向かい、やがて七夕の素麺パーティーは終幕へ向かったのだった。

執筆:桜蝶 京嵐

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