PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

突撃!隣の盤を後破産!

悪人共になら何やったって構わねェよな!とばかりに
凶行を愉しむ2人の話。
例え普段の様子がどうであろうと
根はまごう事なき「悪」なのである。


関連キャラクター:クウハ

どちらが羊か狼か。
「イヤー! ちょっと、やめて、やめてよ!! 死んじゃう! 死んじゃうから!!」

 見るからにけばけばしい女がなりふり構わず叫ぶが、しかし目の前で行われている凶行が止まることはない。

「あ゛ー? なんか言ったか? 悪ぃなァ。俺様馬鹿だからよォ、人間様の言葉はわかんねぇや。ケッケッケッ。」
「てめ……ふざけんな……ゲフッ! やめっ……ガハッ!!」

 パーカー姿の男は女の言葉にあえて返事をしながら、手を……いや、手はポケットにいれたまま。足を休めることはない。
 足元では体格のいい、人相の悪い男がすでに満身創痍で倒れ、パーカー男の足が振るわれる度に血反吐が辺りを染めている。
 よくみれば、暗がりの中、周りにはすでに倒れている男が複数人いる。

「イヤ、イヤァァアア! もうやめてってば! あたしたちが悪かったから!! 離して、離してよ!」

 目を剥いて必死に身をよじり、彼氏だろうか? 男の元へ向かおうとする女だが、後ろ手を緑のローブのチビに絞められそれも叶わない。それどころか。

「も~うるさいわね。そんなに元気が有り余ってるなら……」
「え? ちょ、なにを……いぎっ!? イャアアアア!?」

 突然地面に押し倒されたかと思うと走る首筋の痛み。それが何かわからない恐怖に、女は思わず発狂する。

「うぇ……まっずい。」
「あ……あひ……」

 首筋から垂れる二筋の赤は勢いが止まらず。声色からして少女らしいローブの人物は不味そうに口の中に残った鉄臭を掃き出し、恐怖と失血で失禁しながら意識を失っている女の服で口元を拭う。

「ヒュー。そっちは楽しそうだなァ。俺様も混ぜてほしいぜ。」
「あがっ……や、やめて……ガァアァアァ!!
 そう軽口をたたきながらも、紫髪の男もまた、足元に転がる男の頭を踏みつける。きっと、当人には骨を伝い、イヤな音が聞こえているのかもしれない。

「『旅人なんざ世間知らずの鴨だから、騙された奴が悪ィ』っつったか? いやァ、さすが、おにーさん頭いいねェ。」

 男の頭をブーツの底に敷いたまま、手はポケットに突っこんだまま、猫のように柔らかな身体をぐにゃりと倒して、男の顔を覗き込む。
 その表情はとても。あぁ、とてもいい笑顔だったことだろう。

「悪ぃなァ。世間知らずなもんでね。加減も知らねぇんだわ。あぁ、でもこれくらいは知ってるゼ? 人間、悪ぃことした時は、謝るもんなんだろ? なァ? なんていうんだっけ、ほら。5、4、3……」

 そういいながら、さらに吊り上がる口角は、まるで三日月のようで。その表情に足元の男は恐怖を憶えながらも、朦朧とした意識と狭まる視界の中で、必死に生にしがみつこうと。

「す、すみませ……でした……! 許し……っ」

――――グシャッ。

「ハイ時間切れでしたーっと。」

 静まり返る周囲。
 周囲には、相手の力量も図れずに食い物にしようとした悪漢だったモノたち。つまらない連中だったが、おかげで久々に少しはスッキリできたのかもしれない。どこかサッパリした顔のクウハが「そういえば。」と振り返ると。

「……なぁ? なにしてんだ?」
「え? 魔術式の爆弾の威力を試そうかなって。んー。制音性はいいけど威力がいまいちね。こっちはどうかしら?」

 ドカーーーーン!!!

「わっ、ちょっと、失敗!! あっ、今ので人が来ちゃう!? 逃げるわよ!!」

 転がる連中で爆発実験をする猪市 きゐこの姿は、発散して毒気の抜けたクウハもちょっと引くものだった。
執筆:ユキ

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