PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

花の蜜を

関連キャラクター:アレン・ローゼンバーグ

真夏のレモンタルト
 今日のアフタヌーンティーのお菓子はどうしようか。決めあぐねていたアレンはふと新装開店の張り紙に誘われ、ケーキ屋へ足を踏み入れた。店内には買い物客がちらほら見えている。
 ショーウィンドウに飾られたケーキは、どれもこれも美味しそうでますます決まらない。
 アレンが悩んでいると、店員が話しかけてきた。
「今の時期ですとレモンタルトがオススメですよ」
「じゃあそれで」
 お勧めされたとおりにレモンタルトを選ぶ。きらきらトパーズの様に艶やかで綺麗だった。
「かしこまりました」
「あっ、家に姉がいて……贈り物、というか一緒に食べたいのだけど」
 店員は微笑ましそうに頷いて、白い箱にタルトを収めた後、しゅるりと青と白のリボンを手に取り、ラッピングを施した。
「わぁ……! とっても綺麗! ありがとう。きっと姉さんも喜んでくれるよ」
「お気に召していただけた様で。いつかお姉さまといらしてくださいね」

 店員に頭を下げて、アレンは帰路に着く。
 あんな店員さんの様に優しい人ばかりだったら、姉さんは外に出られるのに。
 ドアを開けて、玄関で自身を待っていた姉に手に提げたタルトを嬉しそうに見せた。
「姉さん、ただいま! 今日はねレモンタルトを包んでもらったんだよ。この間の紅茶と一緒に頂こうよ」

 鏡の中の姉はにっこり微笑んだ。
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