PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

きょうの幻子ちゃん

関連キャラクター:リコリス・ウォルハント・ローア

お花摘み
 メイドさんは朝からとても大忙し。
 刀の手入れをして、タバコをふかして……
 刀? タバコ?

「幻介くん! 今朝の新聞読んだ?」

 潜伏仲間のリコリスが大きなパンの袋を抱えて勢いよくドアを開ける。
 気づいていた彼は刀の鯉口を切るようなことはしない。しないよね?
 フゥー……と紫煙が吐き出され、部屋はけむけむ。

「むーっ!」 とリコリスが尻尾をぱたぱた煙を払う様を見ながら、パンと一緒にテーブルに置かれた記事を手にし、目に入る大きな活字に、新聞がぐしゃりと音を立てる。

 ――『今日の幻想街角美人』

 そこにはなにやらとても見覚えのあるメイド服の女性が紹介されていた。
 「淑やか」「奥ゆかしい」などといった美辞麗句とともに。

 あの小僧、絶対に記事にはするなと釘を刺したというのに。

「……少し出てくる。」

 ゆらりと扉へ歩みを進める幻介に、リコリスは慌てて声をかける。

「あ、まだ潜伏中だよ、幻子ちゃん!」

 ピタッ。

 その言葉に彼は立ち止まると。長く。とても長く息を吐くと、しゃんと背筋を伸ばし、優雅な所作で振り返り、文句のつけどころのない一礼。そしてとても爽やかな笑顔で。

「お花を摘んでまいります」

「……うん、いってらっしゃーい。」

 長いお手洗いになりそうだなぁ。そんなことを思いながら、焼き立ての大きなパンにはむりとかじりつくリコリスだった。
執筆:ユキ

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