PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

( ‘ᾥ’ )お師匠といっしょ

関連キャラクター:リコリス・ウォルハント・ローア

狼師弟の甘い日

 ある日、お師匠が言った。
「リコリスさん、良いところへ行こうか」
 良いところ? 良いところ? おいしいものが食べれるところかな?
 ボクは嬉しくなって、ブンブンと尻尾を揺らしてお師匠についていく。
 半歩前に立って案内してくれるお師匠は再現性東京202X街『希望ヶ浜』へと向かった。希望ヶ浜には北の国にはないたくさんのお店があることを賢狼と名高いボクは知っている。色んな種類のご飯があるファミリーレストランでしょう? お魚とお米の載ったお皿が勝手にクルクル移動しているお寿司屋さんでしょう? 編みの上でじゅうじゅうお肉が歌う食べ放題の焼き肉屋さんでしょう? ボクの顔よりも大きなハンバーガー(玉ねぎ抜きにしてくれる)とアツアツで外はサクサク中はホクホクのポテトが食べれるハンバーガー屋さんでしょう? 後は、後はね、それからね――……。
「お師匠、どこまで行くの?」
 お師匠にはしっかりとした目的地があるみたい。時折aPhoneを確認しながらも何処かへ向かっている。
 今日は何を食べるのかな? ボク、お腹がペコペコになっちゃったよ。
「もうすぐだからね、リコリスさん」
 お師匠がボクへと視線を下ろし、にっこり笑う。お師匠はいつもボクに優しくて、ボク大好き! こないだだって海の島――えーっと、リゾート地って言われてるところ? で、お師匠の分もお肉をくれたんだ。いつも優しくて、ボクを見てニコニコするお師匠がボクは本当に大好きなんだ!
 ボクは大きく「うん!」と返事をして、お師匠に続いて角を曲がる。
 曲がって、そうして――眼前に見えたソレに、ボクは息を飲んだ。

『○○病院』

 いつもお師匠が褒めてくれる賢狼たるボクは、そこが何なのか知っている。あの鋭い銀色からピューってお薬が出て、お医者さんがニコニコしながら「痛く有りませんよ」とウソをつくにっくきアレ! 注射を打つところだ!
 どうしてどうして、と゛う゛し゛て゛――!?
 お師匠だって注射嫌いなくせに! 良いところに連れてってくれるって言ったくせに!
「リコリスさん? どうしたんだい? ほら、すぐそこだよ」
 行こう。
 足を止めたボクの手をお師匠が掴む。
 やだやだやだやだ! ボクは行かないよ!
 散歩を拒否する柴犬を見るような目をしないで! ボクは賢狼だよ!
「行きたくないのかい?」
 そうだよ、お師匠! お師匠がきれいなおねえさんと歩いていても声を掛けないから許して!
 ブンブンと顔を振って拒否をするボクを見るお師匠は、どこか悲しげだ。ごめんね、お師匠。でも、ボクにだってゆずれないものはあるんだよ……!

「そうか……。季節のフラペチーノ、リコリスさんが好きそうだと思ったのだが……」

 えっっっ!?!?!?!?
 パッと視線を向ければ、病院の向こうに『ステラバックス』のお師匠が好きそうなきれいなおねえさんが微笑んでいる看板が!! お師匠ーーーーーーーーーーー! ボクはずっと信じていたよ! 疑ったことなんてないよ! 本当だよ!!
「お師匠、早く早く!」
 お師匠の手を引いてボクは駆けた。そんなボクをお師匠は見守ってくれている。
 その後ボクは、ステラバックスで桃のフラペチーノとメロンのフラペチーノを口にした。お師匠が両方薦めててくれたからだ。
「おいしいね、お師匠!」
「リコリスさんが気に入ったようでよかった。おかわりはいるかい?」
 やっぱりお師匠は今日も優しいや!
執筆:壱花

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