PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

窓際族生存記

関連キャラクター:回言 世界

死刑宣告


 その時はゆっくりと近づいている事だろう。
 何? 身に覚えがない? さて……それはどうだろう。

 世界巡回パラドックス

 そんな言葉が聞こえたと思えば電子音が流れていく。え? 待って? おい、待て。俺に何させるつもりだ。

 私は言いました。お前を(推し)殺すと。

 回言 世界(p3p007315)には縁もゆかりも無いような大きなステージが現れる。嗚呼、いつか見た過去の世界の日本、なんとか武道館とかそんな規模のステージじゃねぇか。なんで??
 なんでこんなステージに立たせた、言え、いや言うな、さてはこれは夢だな?
 やめだやめだ、早くめぇ覚まさせてくれよ。
 俺はぜッッッッたい歌う気はないからな!! ちょ、あ、待っ!!
 ぎゃーーーー!!

 世界の身体は身勝手に踊る。自分の意思も関係なく。彼に夢である自覚はある。だから早く覚めてくれないかとこの地獄の時間を耐え続けた。
「俺が何をしたって言うんだ?!」

 ──覚えていないのですか。

「はぁ?」
 なれば覚悟しているといい。絶対に、絶対的にあなたを推し殺して差し上げると。
「何その怖いワード、普通にやめてくれ!!」
 抵抗するがされども身体は主の意志を無視して踊る。こんな痴態、もしも知り合いに見られたりなんかしたら怠くてかなわない。あの少女のニヤニヤ顔が思い浮かんで苦虫を噛み潰したような顔が滲む。
「絶対にアイツにだけは知られないようにしたい。そもそもこれは夢だろうが!!」
 そう、確かにこれは夢である。
 今は現実味のない。単なる夢である。
「おい、ちょっと待て、今『今は』って言ったか?」

 さぁさて?



 ──
 ────
「がああああぁぁぁ!!!!」
「うわ?!」
「へ?」
 世界が気づいた時には境界図書館のテーブルの上でうつ伏せていた。
「ちょっと大丈夫? な、なんかすごい叫んでたけど……」
「は、はは……案の定夢だったって訳だ……はぁはぁ……」
 自分がアイドルみたいな格好であのなんちゃら武道館とかで歌って踊るとかいやいや夢で当たり前なんだけど。
「なんだい、お疲れ? まぁ最近はラサ? だっけ。そっちの方に出てるって聞いてるからそのせい?」
「あーいやまぁ……うーん」
 これが吸血鬼の影響とかそんな事は無いと思うが。何にしても世界にとって身の毛もよだつ夢だものだったから頭痛が禁じ得ない。
「俺があんな事する訳ないのにな、特異運命座標の中でも俺は」
「境界では有名人だけどねぇ?」
「ちょっとセイジ」
「ははは!」
 さっきから話しかけてくれるのは境界案内人のセイジだったらしい。全く、居眠りで見る夢ならもっとマシな夢を見させて欲しいものだ。

「世界さーん!」
「んあ?」
 境界図書館ではあまり聞かない声に世界は変な声が出た。
「もう……こんな所にいたのね」
「お前こそこんなところまで来て何かあった?」
 宵の髪を靡かせる少女はニコリと微笑みながら
「世界さんにね、提案したい事があって……」

 そして嫌な予感がひしひし。
執筆:月熾

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