PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

窓際族生存記

関連キャラクター:回言 世界

世間話


「あー世界さんだ!」
「ん? ああ、セイジさんか」
 幻想は果ての迷宮第十層『境界図書館』。ここは『無辜なる混沌』と、沢山の『外の世界』を結ぶ役割を持つ場所。
 そこの所謂『常連』として通っているのはセイジと言う境界案内人に呼び止められていた回言 世界(p3p007315)である。彼の常連っぷりはどんな境界案内人でも彼を知っており、また新人の境界案内人に要人として教え込まれる程の人物……と言う事はそれぞれの境界で様々だとして。
 とにかくこの境界においてとても有名な特異運命座標なのである。
「セイジさんの依頼最近見かけないけどどうなってんだ?」
「ははは……いきなり痛いところついてくるね……。これでも探してるんだけどさ」
 依頼書を書くのも簡単じゃないんだよ? と言うセイジに世界は小さくため息をつく。
「まぁ境界案内人も楽な仕事ではないわなぁ」
「そう言う事! まぁ最近また新しい依頼書の書き方が増えて覚えることが多いんだ」
「なるほどね」
 納得する世界の傍ら、セイジは少し遠くを見ながら
「それに……俺が持ってくる依頼に、その、なんと言うか自信が持てなくなっちゃってさ」
「自信〜?」
 何だそれはと言いたげな世界にセイジは少し苦笑しながら
「あっはは……。この仕事に誇りを持つべきなんだろうけど……ほら、僕少し前に後味悪い仕事ばかり見つけちゃってたからさ。今は簡単で楽しそうな依頼を探してるんだけど……」
「……後味悪い仕事見つけてくるのが得意なだけだろ? 別にそれでもいいじゃないか」
「うーん……でも手伝ってくれる人が居ないと達成が難しかったりもするから多少はね?」
「そんなの特異運命座標なら一人だってなんだって解決出来るんだから平気だヘーキ!」
「そんなもんかい? 流石勇者サマって感じだね?」
「そんなんじゃないって」
 後ろ向きなセイジにため息をつく世界にセイジは苦笑せざるを得ない。
「それに」
「うん?」
「セイジさんが『この世界の人を助けたい』って思って依頼出してるんだろ?」
「ま、まぁ……そ、そうだけど」
「なら俺はそれでいいと思うけどな」
「そんなもん?」
「そんなもん。だからそんな拗ねてないでセイジさんらしい仕事持っていきなよ。気が向いたら手伝ってやるからさ」
「気が向いたらなんだ?」
「そこはそうだろ?」
「はは、違いない」
 見透かせれてしまったような世界の言葉に、セイジは肩を竦めながらも笑っていた。
執筆:月熾

PAGETOPPAGEBOTTOM