PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

窓際族生存記

関連キャラクター:回言 世界

クリぼっちに祝福を!

「……で。今回は何をさせられるんだ? 俺は」

 世間はシャイネンナハトだ何だとリア充どもが浮かれ調子で、この時期の境界図書館からの呼び出しは大抵ロクな依頼じゃないと分かっているのに、世界は何だかんだで今年の召集も応じてしまった。

「言っておくが、前みたいに虚無だるまを量産するのはごめん被る。手が霜焼けで年越しても後を引いたからーー」
「「世界、ハッピー・シャイネンナハト〜!」」
「!?」

 連れて来られた先は、蒼矢と赤斗が営む馴染みのカフェ&バー。店にはナハト用の飾り付けが施され、ツリーの上ではぺかぺかと星飾りが明滅を繰り返している。

「おいおい、俺は夢でも見てるのか? これじゃあまるで、俺がシャイネンナハトのパーティーに呼ばれたみたいな……」
「世界は仕事熱心だから、シャイネンナハトでも仕事がしたいんだろうと思って。今回は私から『パーティーを楽しんで欲しい』という依頼だ」
「黄沙羅、お前……」

 まだ結構大事な部分に勘違いが含まれたままの様な気がしたが、目の前に並んでいるスイーツ群に世界は黙認する事にした。
 ブッシュドノエルやシュトーレン。ツリーを模したカップケーキにプティングまで、これなら味に飽きずに色々楽しめそうだ。

ーーただ、この時の世界は肝心な事を忘れていた。

 いつメン境界案内人ズが集まると、お約束とばかりに何がしかのトラブルが発生してしまう事を!

 ギャオォオン!!

「おい、今なんか厨房から奇妙な鳴き声が……」
「あら。もしかして隠し味に混ぜた薬のせいかしら」
「ロベリア、あんた…」

 にこり。次ぐ言葉を許さないとばかりに笑顔のロベリアに、やむなく世界はスイーツへ保護結界をかけて立ち上がる。
 そう、全てはクリぼっち脱却のため! あとスイーツ満喫のため!!
 厨房からどろどろ溶けつつ迫り来る生クリームスライムの軍勢を精霊達で足止めし、世界は半ばヤケクソ気味に光弾の雨を叩き込む!

「畜生、やってやろうじゃねぇか!」
「ああっ、サンタに変装した強盗が押し入ってきた!」
「何でだよ?!」
「今度は酔ったトナカイ獣人が店に殴り込みだー!」
「次々沸いて来るんじゃねぇ!!」
「屋根裏から名状しがたいタコみたいな魔物がっ!」
「何でだあぁぁあ!!!」

 多勢に無勢。ぜぇぜぇと肩で息をしながら現れたエネミーの屍を踏み越え、世界はスイーツ達を守る様に立って周囲を見回す。

「もう今ので最後だよな? ここまでやったらとことん最後までやりきってやる。
 さぁ何でもかかってこい!」
「世界、空から巨大な隕石がー!」
「それは流石に対処しきれねぇぇ!!!」
執筆:芳董

PAGETOPPAGEBOTTOM