幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
Ghost family
Ghost family
https://rev1.reversion.jp/guild/1335
鬱蒼たる森に在る、二階建ての古びた洋館。
絵画の瞳は此方を見つめ、ラップ音は鳴り響き、笑い声が木霊する。
そこはまさしくゴーストハウス!!
これは館の主クウハと住民達による
ある日のほんのささやかなお話。
Twitter紹介文+FL記録。
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/20148
関連キャラクター:クウハ
- 夢馬プエルト
- ●メザメ
目が覚めると、とても心が軽かった。
気 分も晴れやかで。ここしばらく何かに陰鬱とした気持ちを抱えていたような気がしたが、あれはなんだったろうか。
……まァ、いいか。せっかくいい気分なんだ。思い出せないならたいしたことじゃねェだろ。
それよりも、腹が減ったナ。
お、ちょうどいいところにうまそうな魂があんじゃねぇか。
ソファーで寝てる灰色髪の女。ずいぶんとまぁ綺麗な魂だ。朝食にゃちょうどいいぜ。
ごっそさん、っと。
…………
……あぁ、それにしても気分が軽いなぁ。
いまならどんだけでも食べれそうだ。
おっ、あいつも骨みてぇな見た目してっけど、旨そうな色してんじゃねェか。
いい感じにドロっとしてさっきの女よりも濃厚そうだな。こいつァ腹も膨らみそうだ。
あんたの魂、食べてもいいかィ?
マジか? さんきゅーな。んじゃ、いただきますっと。
…………
いやぁ旨かった。
……っかしおかしいなぁ。あんだけ食ったのに、なんか食い足りねぇなァ。
もっと、もっと他に旨そうな魂は……
……お? こいつァ……この匂いは、極上だな。
ヨゥ、そこの長髪の旦那。アンタの魔力、たまらねェ香りがすんな。
その魂、食わせてくれヨ。
……いいのかい? 聞いといてなんだが、今日はどいつもこいつもやけに親切だな。ま、俺にゃ関係ねェか。そんじゃ……
…………
旨かった。
いままで食ったことがないくれェ、最高の味だった。
油断したら俺が呑まれそうなくれェにヤベェ代物だったけどよ、際物だからこそってナ。
あんなご馳走はもう早々食べれねェだろうなァ。
いやァ、気分がいいゼ。
本当に気分がいいナ。
心が軽い。
まるでそう、何かがすっぽり抜け落ちて、空っぽになったみたいに。
それにしても、腹が減ったナ……
…………
●目覚め
「……誰だよ、せっかく人が寝てるっつーのに、耳元で鼻息荒くしてやがんのは。」
暗い森の洋館。
そこから少し奥へと立ち入った木陰で昼寝をしていたクウハの耳を嬲るそれは。
「んだヨ、プエルト、オマエさんか。どうした? 珍しいな。」
プエルトと呼ばれた、黒……いや、よく見ればクウハと同じ紫色の毛並みの馬は、ブルンっと一度小さく鼻を鳴らすと、下げていた頭を上げて、蹄を返すと森の奥へと歩き出していく。
「……んだよ、人の居眠りを邪魔しといて、詫びもナシかよ。っとに懐かねェ奴だな。」
クウハの悪態に耳を一度ピンと立て、小さく振り向く彼女。けれどまたブルンっと鼻を鳴らすと、興味を失ったか、そのまま森の中へと消えていった。
「……っかし、なんか夢見てた気がすんだが……なんだったかな。ま、所詮夢か。」
森を彷徨う死した馬の霊。夢馬(ナイトメア)、プエルト。
本来は悪夢を見せる彼女が此度食べたのは、甘美な悪夢か。 - 執筆:ユキ