PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Ghost family

https://rev1.reversion.jp/guild/1335

鬱蒼たる森に在る、二階建ての古びた洋館。
絵画の瞳は此方を見つめ、ラップ音は鳴り響き、笑い声が木霊する。
そこはまさしくゴーストハウス!!

これは館の主クウハと住民達による
ある日のほんのささやかなお話。

Twitter紹介文+FL記録。
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/20148


関連キャラクター:クウハ

Found you.
 僕は、かくれんぼで『絶対に見つからない必勝法』を識っていた。
 種を明かせば何て事も無いけれど。唯、何の仔の目線よりも高い所に隠れるだけだ。
 人とは、基本的には自分の目線真っ直ぐ、或いは下のものを探し易い。存外高い所は見ていないし盲点に為るから勝つには打って付け――机の下だとかクローゼットの中、ゴミ箱に隠れるのは素人さ!
 是からかくれんぼに挑む人には是非とも――喩えば屋外なら樹の上だとか、室内なら外を覗けるアイブロウ、腰を降ろせさえすれば良いから兎に角高い所へ隠れてみると良い。自分の事を見付けられず躍起になって鬼が探し回って名前を喚ぶのは気持ちが良くて、それでどっぷり日が暮れる頃に皆んなの前に現れる時の最高の気分は病みつきになってしまう程。

 『Let's play hide and seek. Are you ready?
 
 『 Everybody……HIDE!』

 『One……Two……Three……Four……Five……』

 『Six……Seven……Eight……Nin……』

 『Ten……』

 『Ready or not. Here I come!』

 「Fine, Come on!」

 何時の事だっただろう、もう覚えてない位ずっと前だった気がする。『幽霊屋敷』と実しやかに囁かれていた古びた洋館。大人達は口を揃えて近寄ってはいけない、と口を酸っぱくして云っていた――でもそんなもので子供の膨らんだ好奇心は止まらない――其れ処か行ってはならぬと云われれば最早『行け』と同然の意味を持つ。
 胸の高まりは最高潮で、鼓動が早まる儘に大人の目を盗んで肝試しがてら向かった其処で。

 ――僕は死んだんだと思う。寒い、雪の日。其れが僕の命日。そして所謂『幽霊』になって、未だに此処に居る。

 七色の大理石で作られた嵌木細工の床を走り回る友達を見下ろして居たぼくはと云えば、退屈過ぎて欠伸が出たものだから睡ってしまって。其れが直接の死因に成ったみたい。
 僕が先に怖がって尻尾を巻いて逃げ帰ったのだと決め付けた皆んなは日暮れに館を出て、其れで帰って来てない事が発覚し村からは捜索隊が組まれた様だけど。今更降りて行くのも格好悪いし、怒られるのも厭だし、手も足も軀もきぃんと冷えていて、聲を出す事も出来なくて――遠退き行く意識の中で、父さんと母さんの必死で、悲しそうな聴いた氣がした――……。

 二階の更に柱を攀じ登り中央の大きなドームの――天窓から差し込む柔らかでとろりと甘いクリィム色が漆喰の壁にグラデーションを作る、まるで天国に近い場所。其処に僕の骨は未だに誰にも見つけられずに在ったりするのだ。

 『Yes, I am…… Yes, I am……』

「うわッ、何だよ骸骨じゃんよ!? クウハさんったらクッソ驚いたぜェ!」
「え?」
「何でオマエさん、こんなトコ居んの?」
「かくれんぼ」
「ハーン? そんじゃアレだわ」

    みぃつけた
 『――Found you!!』

 其れからの僕は、館の中を自由に歩ける様に為った。此処には驚く程色んな幽霊が居て、今の目標としては唯一僕を見つける事が出来た此処の主にかくれんぼで勝ちたいって事なのだけど、如何云う訳かクウハさんは絶対に僕を見つけてくれるから、嬉しいんだけど悔しい。

 『Not just yet…… Not just yet……』

 『Are you ready?』

 『Yes, I am!!』
執筆:しらね葵

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