幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
Ghost family
Ghost family
https://rev1.reversion.jp/guild/1335
鬱蒼たる森に在る、二階建ての古びた洋館。
絵画の瞳は此方を見つめ、ラップ音は鳴り響き、笑い声が木霊する。
そこはまさしくゴーストハウス!!
これは館の主クウハと住民達による
ある日のほんのささやかなお話。
Twitter紹介文+FL記録。
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/20148
関連キャラクター:クウハ
- 平々凡々な幽霊の、
- むかしむかし、この村に一人の女の子がいました。
女の子は村のみんなにいじめられ、ついには崖から落ちて死んでしまいました。
しかしその後、女の子をいじめていた人たちも次々と、何かに操られているかのように崖から落ちていってしまいました。
今でもあの崖の下、その子は村人たちを憎み続け、其処を通る者は行方知らずになってしまうようです……。
俺の生まれ育った村に伝わる昔話なんだ。子供のころはよく聞かされたもんだよ。
だから俺も、幽霊は皆強い恨みを抱いてるんだと思って、怖がってた。ま、昔の話さ。
……。せっかくだから、俺の身の上話でも聞いてくか?
独りで黄昏れてると湿っぽい気分になるもんでね。
俺は何の変哲もない農村の生まれで、何の変哲もない農民として生きるはずだった。でも、娯楽もなければ人もいない山奥で、"そこそこ"の人生を全うするなんて我慢ならなかった。もっと凄い存在になりたかったんだ。
勢いのまま突っ走って、大きな街に上京した。だけど俺に出来ることは結局限られてて、適当な仕事で日銭を稼ぐ毎日だった。
そしてある日、酔っ払った同僚の介抱をしている最中、階段から足を滑らせて死んだ。
それから当てもなくぶらついてたときに、この屋敷を見つけたんだっけな。
バカみたいな人生だったろ?
こんなんじゃ誰かを恨むことだって出来やしない。あの同僚も俺の死を悼んでくれたしな。
幽霊は皆強い恨みを抱いてるんだと思ってた。実際のところ、俺に残ったのは行き場のない未練だけだった。
どうして俺は生きて――死んでるんだろうな。
この屋敷は個性的なヤツばかりで、なおさらそう思っちまうよ。
……。
そうかな。そんなこと言ってもらえたの、初めてだ。生きてるときを含めても。
ハハ。ありがとな。嬉しいよ。本当……本当に。
……。
ハハハ! 本気で言ってるのか?
でも、お前が言うなら説得力がある気がするよ。
そうだな。死んだ後だからって関係ないのかもしれない。
いつか、俺たちでデカいこと成し遂げようぜ。――絶対な! - 執筆:梢