PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ユメウツツ

関連キャラクター:トキノエ

ああ、選択肢間違えた
 ビチャリ。いやな音を立てて液体が体から零れ落ちていく。止めようにも液体なので押さえている手からぼたぼたと零れ落ちていく。
 何でとどうして。頭の中にはその言葉ばかりが浮かんでは消えていく。先ほどまで彼は笑みを浮かべながら自分の紡ぐ言葉に耳を傾けていたはずだ。それなのに急に自分は『刺された』のだ。ふらふらと自分の言う事を聞かない視線を彼に何とか合わせる。笑っていた。口元に優雅な笑みを浮かべ笑っていた。けれども、ああ、けれども。その瞳の中には業火しか浮かんでいなかった。
「お前が彼らの何を知っているのか。彼らの名はお前如きが口にしていいものではない。それは全部全部、我だけのものだ。我以外が知る事も見る事も許さない」
 お前で最後だと嬉しそうに語る彼に俺は逃げようともがく。けれども大分血を流し過ぎていて体を動かす事すら難しい。彼の逆鱗が何かわかってしまったが、その時にはもう遅かった。男はこうやって彼らに関わってきたすべての人を始末して回っていたのだろう。
「これで彼らを知る者は今のところ誰もいなくなった。まあ、彼らも我と似たような種だ。そういう事もあろうと納得してくれるだろう。彼らもう我の物だ。自由にしては良いが我は少々心が狭い。一時の逢瀬は許せるがそれ以降も彼らを覚えている者がいるのは耐えられぬ。ああ、耐えられるのとも。だから排除するのだ。いっそこの世に我と彼らしかいなくなるその日まで」
 歌うように己の狂気を吐き出す彼の言葉を最後に俺の意識は途切れた。
執筆:紫獄

PAGETOPPAGEBOTTOM