PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ユメウツツ

関連キャラクター:トキノエ

slave
 闇オークションの会場に来ていた白萩は退屈そうに欠伸を漏らす。何もかも面白くない。このまま次の商品を待たずに帰るか。そう思っていた時だった。
「なあ、白萩」
 楽しげな声に視線をそちらにずらせば、舞台を指さされる。乞われるがまま視線を再びずらせば、衝撃。
「あァ…いいな」
 白萩の顔に獰猛な笑みが浮かぶ。その言葉にはトキノエも同感だったようで楽しそうにしている。
「幾ら出す?」
「手に入るならいくらでも」
 2人の視線は舞台にいる1人の奴隷に注がれたまま、言葉を交わす。みすぼらしい格好ではあるが、艶を失っていない黒髪も愁いを帯びていない瞳も惹かれるものがある。
 それはほかの連中も同じようで、今までの熱気とはまた違った熱気に包まれていた。ふと、2人の視線と舞台にいる奴隷の視線が交差した時、トキノエと白萩に向けてか奴隷は微笑んだ。奴隷という立場にそぐわないその笑みは、会場の雰囲気を変えるには十分すぎた、
 誰もかれもがその奴隷を手に入れようと全力を尽くす。けれどもきっと、白萩とトキノエには叶わないだろう。彼らは欲しいと思ったモノは全て手に入れてきたのだから。
『『あの奴隷が欲しい』』
 2人の目的は一致した。ならば奪い喰らうまで。
執筆:紫獄

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