PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

パン屋の日常

関連キャラクター:零・K・メルヴィル

海の人々と生きる糧と
海から漁船が戻る頃、零の姿は漁港にあった。
 予約商品の受け渡しと漁港の職員へ売る為である。
 荒虎パンとフラッカリーは酒飲みの多い漁師の人気商品で、絶えず予約が入るのだ。
 彼らは明朝に出港し、昼過ぎに戻って夜は早く眠る。
 その生活の中で、昼の酌が生きる糧と笑う者ばかりだ。
 そんな酒に塩気の強い荒虎パンは良く合う。
「たとえ売り上げのない酷い漁でも、このパンが気持ち良く酔わしてくれるのさぁ」
 漁師の中でも高齢の男が受け取ったパンを食べなから言う。
 一方でフラッカリーは漁船の上で食べている事が多いのだとか。
 もちろん、シンプルな味だから好きな味付けを付けて酒のアテにする者もいる。
 港では買い取れない魚を塩揉みして軽く焼いたものと香味野菜をフラッカリーに乗せて食べたりと自由さが受けていた。
「マヨネーズを付けておやつとして食べる時もあるんだ」
 若い漁師が照れたように言えば、先輩漁師たちが微笑ましく笑う。
 どんな時も海と魚と戦ってきた漁師の、その腸を支えるパン。
 そしてその漁師達を支える漁港の職員達の腹を満たすパン。
 そんなパンを売る為に、零は漁港でも食べてくれる人を持て成し続ける。
「いらっしゃい、焼き立てあるよ!」
執筆:桜蝶 京嵐

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