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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

突撃!エリカの今日の晩御飯!

関連キャラクター:エリカ・フェレライ

悪食たちの集う店。或いは、レストラン・ハンニバル…。
●限定メニュー
 薄い肉を箸で摘んで、口の中へと放り込む。
 硬い肉に染みた塩味が、噛めば噛むほど舌の上に広がった。
 醢(ししびしお)と呼ばれる料理だ。
「雑食のお肉は少し癖が強いのです」
 もぐもぐと肉を嚙みながら、エリカはにぃと口角をあげた。
 上質な塩で仕上げた癖のある肉も、しっかりと噛めばなかなか味わい深いではないか。
 ゆっくりと時間をかけて、醢(ししびしお)を味わうとエリカ・フェレライはメニュー表へ手を伸ばす。
 海亀のスープに、肉餅、肉鍋。
 料理の名前を指でなぞって、エリカは笑みを深くした。
「肉餅と海亀のスープをお願いするのです。あぁ、付け合わせはマンドラゴラのサラダでお願いします」
 厨房へと視線を向けて、エリカは次の料理をオーダー。
 無言のまま、料理人は調理へと移ったようだった。
 
 暫くして肉餅……つまり、ハンバーグと海亀のスープが運ばれる。
 濃い味付けの肉餅を綺麗に切り分けて、大きな口で咀嚼した。じわり、と溢れる肉汁が口内を満たし、喉から胃へと滑り落ちた。
 次にスプーンでスープを掬うと、音を立てずに唇へ運ぶ。
 さっぱりとした味付けに、小さく切られた赤身肉。
 舌に残った脂っぽさが、するりと洗われるようだった。
 くすり、と。
 エリカは笑って、ポケットの中からドッグタグを取り出した。
「そちらは?」
 厨房の奥から、料理人が問いかける。
「エリカを襲った、人攫いさんのドッグタグです。ご丁寧に所属している組織の名前が書いてあるので、近々遊びに行こうかと」
「然様ですか。その際はぜひまた当店をご利用ください」
 なんて。
 どこか嘲笑を孕んだ風な声音でもって、料理人はそう告げた。

 食事を終えて、エリカは店を後にする。
 レストラン・ハンニバル。
 客の持ち込んだ素材を使って、その場で料理を仕上げてくれる小さなレストランだ。
 料理の腕は超一流。
 扱う食材は選ばない。
 けれど、その店の場所を知る者は少ない。
 悪食たちの集う店など、広く知られる必要はないのだ。
執筆:病み月

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