PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アナタの譜面

関連キャラクター:アベリア・クォーツ・バルツァーレク

嫌悪、嫉妬、アンダンテ

 嫌悪の音色を御存知だろうか。
 いいや、それを知っているひとは少ない方がいい――と、リアは思う。
 突き刺すようなメロディ、不協和音。耳障りで不愉快な、それでいて聞かなければならないと言う使命感に苛まれてしまうのだから、クオリアの祝福は面倒極まりない。
 リアがはじめてその音色を理解したのは、幼い頃に少女から嫉妬の感情を向けられた時だ。
(……何、この音)
 いつも穏やかに笑っているだけの少女から、これでもかと言うほどのつんざくような音色が響いてくる。
 それはリアにとっては恐怖と興味のないまぜになった譜面(たいしょう)で。

「ねぇ、あたしに何か言いたいことでもあるの?」

 なんて言ってしまえば、少女の心も爆発すると言うもの。
 泣きわめき恨みの積もった目を見たその時、リアは理解した。
(ああ、)
 それは嫉妬なのだと。
 後から聞いた話だ。
 その少女は、リアのヴァイオリンの音色に焦がれてヴァイオリニストを志したのだという――
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