幕間
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精霊のひととき
精霊のひととき
関連キャラクター:フルール プリュニエ
- おひさまおいかけっこ
- 今日はとってもいい天気。赤銅仔猫は、涼やかな風と共に陽射しを浴びてぬくぬくとお昼寝中。
ここ最近の雨続きにはうんざりしていたし、おひさまをいっぱい感じてのんびりぽかぽかしたい。
――しかし、その願いはうやむやになってしまう。
ととと、と走り回る茜朱の栗鼠が持っているのは、赫灼兎のご馳走お肉。悪戯っこに大事なごはんを奪われてお怒りの兎は、ぷんすか栗鼠を追いかけ回す。
いやいや、今日は静かに過ごしたい。せっかくのお昼寝日和だもの。
無視を決め込もうとしたところ、同じくうとうとしていた翼蛇の身体の上を栗鼠が疾走。兎もあとを追いかけるものだから、橙赤彩はしゅるしゅるおろおろ。
その鬼ごっこがなんとも楽しそうで、うずうずする身体はもう止められない。我慢できずににゃあにゃあ鳴いて、栗鼠と兎のあとを駆けだしてしまった。
元気そうでなにより、なんて深緋の蛸がどうでもよさそうに眺めていれば、その頭へと三匹が順々に見事な着地を決める。
思わず吐き出した墨が紅蓮の巨人の顔面に掛かったせいで、蛸は真っ赤な顔面が蒼白に。
このあと不死鳥に叱られて、騒いだ四匹は翼蛇と巨人に謝ったことを主は知らない。 - 執筆:遅咲