幕間
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積もる怨嗟
積もる怨嗟
関連キャラクター:レイヴン・ミスト・ポルードイ
- 復讐は止まず、怨嗟は大きくなるばかり
- これはある日のことである。"怨嗟"が現れたその時、レイヴンは護衛依頼を受けていた最中であった。
「ひい、なんだ! あの化け物は!」
怨嗟のことを知っていたレイヴンはその性質上、このまま護衛依頼を行っていては危険だと判断して、護衛対象の馬車を先に行かせて、自身は残って怨嗟と戦うことを選んだ。
「ここはワタシに任せて、アンタたちは先に行ってくれ!」
「わかった! このままここにいるとなんだか俺たちまで気が狂いそうだぜ」
馬車の御者や他の護衛たちがすぐに怨嗟から離れたのもあって、この場にはレイヴンと怨嗟だけになる、かと思われたが……
「ちょっ、待ってくれよ!」
一人、護衛をしていた新人と思われる傭兵が事態を把握しきれずにその場に取り残されてしまった
「ったく、何が起こっているのかさっぱり……オマエ、コロシテヤル」
新人傭兵がぼやいていたのもつかの間、その眼は怨嗟の影響を受けてレイヴンに狙いを定め始めた。
「ちぃ、二対一となってはかなり不利だが……」
レイヴンは執行人の杖を構え、大鎌となったその杖で怨嗟を対象に攻撃をしていく。しかし、敵は怨嗟だけでなく、新人傭兵もいる。ただ怨嗟に任せて剣を振り回すだけの攻撃でも二対一となってはレイヴンを消耗させるには十分ともいえた。
「しょうがない、こうなっては……」
ここでレイヴンは最後の手段に出る。杖を弓の形態に変えて破式魔法を打ち込んだ。その射線上には怨嗟、そして怨嗟に取りつかれた新人傭兵。大幅に増幅された魔力は二つの存在を飲み込み、残ったのは死体となった新人傭兵の姿だけであった。
戦いの巻き添えで、一人の少年の命がなくなった。だが、それだけでは怨嗟は収まらず、むしろその少年の遺志すらも怨嗟の力となってしまうだろう。怨嗟による復讐は手を休めず、常にレイヴンを狙い続けるのである。
- 執筆:桃山シュヴァリエ