PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

食べないでください!

関連キャラクター:ベーク・シー・ドリーム

心頭滅却すれば暑さもまた……?
 今日はとても暑い日だ。暑すぎて暑すぎて溶ける、焼ける、煮える。なんでこんな日に出歩いたのかとベークは後悔するが、出ちゃったものはしょうがない。さっさと用事を済ませて帰ろうと、そう思っていたのだ。
「あ、たい焼きだ」
 後ろから聞こえたその声にビクリと動きが止まる。そーっと振り返ると子供たちの集団が。これはまた襲われるのではと逃げ道を考える。とりあえず広くて人の多い通りに出よう、後は助けを叫んで走っていたら何とかなるはず……そこまで考えたところでベークの耳に入ったのは意外な言葉だった。
「たい焼きって言ってもおいしいけど熱いじゃん」
「そーそー、今はアイスとか食いてぇよ」
「わかるわかる」
「暑い日に熱いたい焼きを食べようって気にはなー」
 なんと、襲撃回避! ベークは今日初めて真夏のクソ暑い日差しに感謝した!
 暑い日に出てきてよかったぁとルンルン気分で歩みを進める。進めていた。
「いや、でもさ、心頭滅却すれば火もまた……とか言わねぇ?」
 あ、なんかヤな予感がするなってベークの第六感が言う。
「つまりクソ暑い中で焼き立てのたい焼きを食ったら暑さがまぎれる?」
 まぎれませんが!? と突っ込みたかった。だが突っ込んだらダメな気がした。歩みが早くなる。
「それならあの焼き立て熱々のたい焼きを食べないとだなぁ」
「焼きたてでも熱々でもありませんが!?」
 今度は駄目だった。つい振り返って突っ込んでしまう。そしてそれを聞いた子供たちの目がぎらついた。獲物を狙う肉食獣の目とかそういうのに似てる。暑さで頭がおかしくなってるのかもしれない。
「熱くない?! じゃあ冷たいってことか!?」
「アイスたい焼き!? 食いてぇ!」
「横取りすんなよ、俺のだからな!!!」
「ひぇっ、僕はアイスたい焼きとかそういうものでは……た、助けてぇぇぇ!!!」
 嫌な予感というものはやっぱり的中するもので。結局ベーグと子供たちは真夏の殺人的な暑さの中で汗だらけになりながら追いかけっこをする羽目になったのだった。

 熱中症には気をつけようね!
執筆:心音マリ

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