PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

食べないでください!

関連キャラクター:ベーク・シー・ドリーム

焼きたては冬のご馳走
 さて、まるっと時節を無視するが、今は冬真っ盛りであった。
 それはそれは寒い冬の夜。ベークは寒さを肌に……皮に? 感じながら家路を急いでいた。
 いくら温度変化に強いとはいえ、寒さは厳しい。このままでは雪が降って皮がふやふやになってしまうかもしれない。
「たい焼き……」
 ふと声が聴こえる。無視できずに辺りを見渡したベークはぎょっと驚いたように目を見開いた。
 なにせ振り返れば、寒さで顔を真っ赤にした男が虚ろな目でこちらを見ているのだ。驚くなという方が無理な話だろう。
「あのー……何か御用でしょうか?」
「いや、ほんと寒くって。たい焼きって……」
 焼きたてはあったかいんだろ? その言葉を聞いた瞬間にベークは走り出していた。
「あのあの! 僕って全然焼きたてでもあつあつでもほかほかでもないんですけど!!」
「いやいやわからないじゃねえか! ほらちょこっと齧らせてみ? 実は焼きたてかもしれねぇじゃねえか!!」
 だめだこのおじさん。寒さで訳が分からなくなっている。
 話の通じなさを察して逃げるたい焼……ベーク。それを追いかける男。
 ふたりの追いかけっこが終わるころにはきっと寒さなんて忘れるくらい温まっていることだろう。頑張れ。
執筆:凍雨

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