幕間
恋する乙女の蒼い日々
恋する乙女の蒼い日々
関連キャラクター:華蓮・ナーサリー・瑞稀
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- ●元から犬系(えへへ)
「……」
「……………」
「……暇じゃない?」
「えへへ。暇じゃないのだわ。今、私はレオンさんのお顔を眺めるのに忙しいのだわ!」
昼下がりのローレット。
眼鏡を掛けて執務室で机に向かうレオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)はソファにちょこんと座ってじっと自分の顔を見つめ続けている華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の言葉に肩を竦めた。
怠惰な彼が義務から散々逃げ回り、溜めに溜めた書類仕事を『強制』されるのは大抵の場合『限界』の一歩手前である。
殆ど定例のようなイベントに近いのだが、こうなれば案外華蓮からしたら『しめたもの』で……
(いっぱいお手伝い出来るし、レオンさんと一緒にいられるし、それに――)
――お疲れ。
――疲れてないのだわ。とっても楽しかったのだわ!
――いや、助かったよ。ホント、オマエのお陰で二時間は縮んだね。
――そ、そう言われると照れるのだわ……
――今夜は時間あるよな。エスコートさせてよ?
(――そ、そっちも楽しみなのだわ……)
瞬間的に華蓮が脳裏に描いた映像は概ね妄想なのだが、実体を伴った妄想でもある。
付き合いが長ければ先の展開は読めるというものだ。
故に華蓮はレオンが仕事に缶詰になる時間が嫌いではなかった。
確かに自分を見て欲しいとは思うのだが、仕事に打ち込む彼は『素敵』であり、それに第一。
「……まぁ、善処するから期待してて」
視野の広いレオンは仕事をしながらも定期的に華蓮の事を気にかけてくれる。
先程のも、今のもそうだ。そういう所が何とも言えずこそばゆいのだが――
――オマエって犬系だよな――
「……わん」
「……?」
少し不思議そうな顔をしたレオンに華蓮は「何でも」と笑っている。 - 執筆:YAMIDEITEI
- Stella
- ●第一幕
「……酷い、酷いのだわ……!」
慣れないお酒を呑み過ぎれば、どんな良い子でも本音は出る。
普段から仮面を被っている訳ではない。普段から絶えぬ不満を抱えている訳ではない。
唯、それでも――ふとした瞬間に『彼』の視線が他所に移ったら。『彼』が目移りを繰り返すような男なら。
年頃の恋する乙女からすれば――それがどんなに物分かりの良い、良い子であろうとも――積もり積もった感情は憤懣やるかたなさを抱えるのも致し方ない事であろう。
「……飲み過ぎですよぉ」
「うっ、うっ……分かっている、分かっているのだわ……!」
声を掛けてきた酒場の店員をちらりと見て華蓮はより暗鬱とした気分になった。
年の頃は華蓮と大差ないだろう。可愛らしいディアンドルから覗く肌は白く、胸はこぼれ落ちんばかりだ。
目鼻立ちはくっきりしていて活発そうで――如何にも『彼』が「可愛いね、デートしよう」等と宣う事必至である。
「彼氏と喧嘩でもしちゃったんですか?」
「……彼氏、ではないのだわ……」
「……………好きな人と喧嘩?」
「喧嘩、でもないと思う……のだわ」
好きな人は否定し難い。
そして、喧嘩――はしていない。
但し、今日の華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が「何か怒ってる?」と来たレオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)を袖にしたのは確かである。
本当は何時ものように――痛む胸を抑えてでも笑顔で居たかったのだ。
物わかりが良くて素直で可愛らしい――彼のそう思う『華蓮』で居たかった。
でもどうしてか、今日だけはそれが上手くいかなかったのだ。きっと大した理由はない。ないに違いないのだけど。
「……私で良かったら少し位はお話聞きますよ?」
時間帯もあって店内に多くの客は居なかった。
何処となく有閑な時間より、珍しい客の可愛らしい悩みに応えたくなる気持ちは理解出来る。
(……そういう話って、言ってもいいのかしら?)
華蓮は少し悩んだ。少し悩んだけど、今日の彼女は『悪い子』だから――
「――レオンさ……私の好きな人が、すっごい浮気性で!
それはもう、日々大変な事になっているのだわ……!」
――酔いのついでにそんな風に話を始める。
「あらあら」
少し目を丸くした店員は相槌を打ちながら華蓮の『悩み』を聞き始める。
そんな酒場の入り口では銅製の看板が吹き付けた風に揺れていた。
――『BAR 星の光』。
- 執筆:YAMIDEITEI
- 禁止カード
- 「レオンさん、レオンさん!」
「何? どうしたの?」
「暑い中働く頑張り屋のレオンさんの為に!」
「為に?」
「何と今日はお弁当を作ってきたのだわ!
……食べてくれるのだわ? あと出来れば一緒に……(ごにょごにょ)」
「勿論。じゃあ、休憩してお茶でも入れるわ。座ってて」
「……はい!」
「~♪」
(……ま、まるで彼氏のおうちにお邪魔しているみたいでドキドキするのだわ……
仕事中のレオンさん眼鏡で真面目そうで素敵なのだわ……!)
「機嫌良さそうじゃん」
「……ふぁい?」
「何か頬緩んでるし」
「これは! 決して! あらぬ事を考えていた訳ではなく!!!」
「見惚れてただけ?」
「はい!!!」
「分かり易いなあ、オマエ」
「……う、それは兎も角……いただきますするのだわ!!!」
「はいはい」
(じーっ……)
「……」
(じーっ……)
「……………」
「ち、沈黙が怖いのだわ。卵焼きが自信作なのだわ><」
「うん、今日のは『特別』だ。あーん」
「あーん!?」
「あーん」
「……!」
(もぐもぐ)
「……」
「……………」
「しょっぱいのだわ!!!」
「砂糖と塩を間違えた?」
「……間違えてしまったのだわ(しょぼん)」
「そんな顔するなって、丁度いいから」
「……優しい慰めはいらないのだわ……」
「本当だって――」
「――オマエが甘いから丁度いいの」 - 執筆:YAMIDEITEI
- 3/14
- ●不満なのだわ!
「……はい、レオンさん!」
「何だね、華蓮君」
「実を言えば、私には言いたいの事があるのだわ」
「珍しいね。頬を膨らめて――何か抗議の直談判?」
「察しが良くて助かるのだわ。
レオンさん、今日という今日は何時もの優しい華蓮ではいられねーという事なのだわよ」
「怖いな。本気って訳か」
「そう、本気って訳で――って全然そんな感じでは無いのだわ!?
私、真剣に抗議するのだわよ? もっと身構えても良いのだわ!!!」
「いやいや、本気で承ってるって。
でもほら、ドラマとかじゃあるまいし……オマエに叱られたら俺が全面的に悪いからね。
最初から白旗上げてるだけ。聞くから、ちゃんと。はい、どーぞ」
(実を言うと今の台詞が既に地雷過ぎて与太空間だというのに色々とレオンさん全開なのだわ……
確信犯でやっている確信があるから最早始末に負えねーのだわ……)
「どうしたの?」
「……ン、コホン! はい、では言います。心して聞いて下さいなのだわ」
「はい」
「今回の問題は簡単に言うと」
「簡単に言うと」
「『レオンさん、私を可愛がり過ぎ問題』なのだわ!」
「それはそれは」
「はい、質問です」
「どうぞ」
「レオンさん、今日はこの後どうする心算だったのだわ?」
「オマエが喜ぶかと思ってグラクロのお返しにデート等に誘おうと」
「ふむふむ」
「若い子に人気のメフ・メフィートの予約困難店等をリサーチしまして。
大人の力(けんりょくとこね)で無理矢理予約をねじ込みましたね」
「素敵なのだわ。それから?」
「夜八時半まで食事で、それから適当に景色等を眺めまして。
ロマンチックな雰囲気でお返しのプレゼントと渡しましてね。
いい雰囲気のまま、夜九時半頃にはご自宅まで送り届けようと」
「百点なのだわ! でも百点だから駄目なのだわ!!!」
「……???」
「意地悪が! 意地悪が全然足りないのだわ!?
そもそも、九時半にご自宅に完璧に送り届けているのが大切にし過ぎなのだわ!?
レオンさんって明らかにそういう男ではないのだわ!!!」
(理解が深くて恐縮だなあ……)
「……コホン。私だって別に雑に扱われたい訳ではないのです。
お姫様は女の子の理想に決まっているのだし。でも、レオンさん」
「はい」
「たまには――もうちょっと、意地悪してみてもいいのだわ?」
(袖掴んで、上目遣いが可愛いなあ……)
https://rev1.reversion.jp/illust/illust/77380 - 執筆:YAMIDEITEI
- あれるかれん
- 「うー、うー……」
「そんなに唸ってどうしたの? 美少女動物園?」
「レオンさん! 私は見世物じゃあねえのだわ!」
「じゃあ美少女」
「……あ、改めて言われると恥ずかしいのだわ……」
「それでどうしたの?」
「最近、色々有り過ぎて疲れが溜まっているのだわ。
それで、ちょっと……」
「ちょっと?」
「……言わなくてはダメなのだわ?」
「駄目ですねえ」
「……………お肌とか、あと特に唇とか荒れちゃったのだわ。
うう、レオンさんの前だし、何時も可愛くしていないといけないのに!」
(もうその台詞だけで滅茶苦茶合格じゃね?)
「……?」
「何でも。成る程ねえ、それで唸ってた訳か」
「レオンさんも何かいい方法知らないのだわ?」
「俺は男だからねえ。あんまり気にした事ねぇっつうか。
そもそも男と女じゃ大分『手段』が違いそうって言うか――あ」
「何か思いついたのだわ!?」
「『男女兼用』なの思いついたけど、どう?」
「是非教えて欲しいのだわ!」
「『うるおい』追加って事で――」
(顔!!! 近いのだわ!?!?!?)
「……」
「……………」
「……冗談だって。そんなに固まるんじゃないよ」
「そ、それは……」
「うん?」
「今のは!!! 最悪なのだわ!!!」
「やり過ぎた? 御免って」
「違う! 違います!!! そこでさっさと止まるから最悪なのだわ!!!!!」 - 執筆:YAMIDEITEI
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