PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アルトバ文具店(営業中)

関連キャラクター:古木・文

青か緑か。いいえ、青とも緑とも。
●碧に至る
「あのー、この植物って飾りモンですよね? 売ってます?」
「申し訳ございませんが販売はしておりません」
「ですよねー。そしたらこれの名前教えて貰えませんか。自分で花屋に行くんで」
 はて、此処はあくまでも文具屋。観葉植物も多少は飾っているがそれは主でなく引き立て役。清涼な雰囲気を出すものに過ぎない。当然だがこのような客は殆どいないし、居ても「季節の花が綺麗ですね」と話のタネになるくらい。
「こちらは■■■と言いまして……花屋よりは園芸用品を取り扱う大型店に行くと見つかりやすいかと」
「あざーす」
 奇特な青年は植物の名前を乱雑に紙に記し、次に並べられたインクのコーナーに行く。そこではインクの色を見て、数字と記号の羅列をメモしていた。インクには名前が付いているのに、まるで暗号のよう。
「さーせーん」
 青年は沢山のメモを取り、最後に文を呼んで、鞄から取り出したスケッチブックに描かれた『真夏の青々とした草がボーボーに生えた絵』を見せて尋ねる。
「この色、ないっすかね」
「……ええと、何処の色でしょうか……?」
 乱雑に、丁寧に、複雑に、凄まじい密度で描かれた草が絡み合う絵。どこの色を指しているのか分からない。
「――それを俺も探してるんッス」
 ニっと笑った青年は、楽しく困った顔だった。

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