PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アルトバ文具店(営業中)

関連キャラクター:古木・文

涼やかなる・二頁

「文くん、文くん」
「あ、こんにちは。また来てくださったんですね、お元気ですか?」
「ふふ、うん! 最近は暑いわね」
 扉からひょっこりと顔を覗かせた女性はくすりと微笑んだ。近所の常連の一人でもある彼女。
 時折ふらりと現れては、お菓子の差し入れを持ち『お茶会しましょ!』なんて洒落たお誘いをくれるものだから、そのお言葉に甘えている。
「文くん、確かレモンケーキ好きだったわよね」
「ええ、とびきり。でも最近頂きすぎてますよ、もう十分です」
「ふふ、だめよ。若い子は沢山食べてくれなきゃ!」
「そうですか」
 真夏になれば思い出す。血濡れのひまわり、蝉の声。彼女と話す『今日』のこと。
 作業は一時中断。レディを椅子へエスコートし、本日もお茶会が開催される。
「文くん、また新しいものを仕入れたの?」
「はい。もしかして気に入ってくださったとか?」
「ふふ、そうなの。バレちゃった? あの子が好きそうだなって」
「……ええ、そうですね。お包みしましょうか?」
「うん、お願い。後でほかも見たいから、お会計は待ってね」
「わかりました」
 命日のひと月後だと少女は語っていたか。彼女は決まってその日に現れる。
「レモンケーキ、美味しかったです」
「ふふ、それはよかった」
「……それから、お手紙も預かってるんですが。どうでしょう?」
「まぁ、素敵!」
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