PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アルトバ文具店(営業中)

関連キャラクター:古木・文

踊るペン先、綴る言葉
 棚に並んだ硝子瓶には一つ一つ丁寧にインク名が書かれたタグがかけられている。
 少女は一つ手にしてはまた棚に戻し別の瓶を手に取る……それをずっと繰り返していた。
 声をかけるべきか否か。文が決めかねるうちに、どうやらこれとインクを決めたらしい少女が万年筆を並べた一角で本格的に悩みはじめたようだ。
「試筆しますか?」
 薄桃軸と白軸にラメが散ったもの、どちらかで思案する少女に、そう声をかけた。
 いいの? と驚く少女に頷いてテーブルへ案内する。
 試筆用のインクに白軸の万年筆の先をつけ紙の上をさらりと滑らせる。
「どうぞ」
 尻軸を少女へ向け手渡すと恐る恐る紙の上を走らせる。その間に薄桃軸の用意をし次はこちらと差し出した。
「こちらは小振りですが女性の手に馴染みやすいです」
「本当だ、書きやすい……」
 少し短いそれは軽く重心も安定している。実際に書き心地を確かめて納得したのか彼女は薄桃軸に決めたようだ。
「どなたかにお手紙ですか?」
「はい。大切な人へ」
 はにかんだ少女になるほどと思案して文は便箋を幾つか見繕う。上質な紙で、少女が選んだインクが滲みにくく裏抜けしないものを。
「ああ……」
 会計後、丁寧に包まれた紙袋を手にし、少女は和かに笑ってこう言った。
「アルトバ文具店に来て本当によかった」
執筆:いつき

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