PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アルトバ文具店(営業中)

関連キャラクター:古木・文

ある日の文具店
 夏の盛り、午後の眠気が誘う時間にその婦人は店に来た。
「失礼、ガラスペンは置いているかしら?」
「いらっしゃいませ、ガラスペンですね。お待ちください」
 眠気と戦う準備中だった文は意識を切り替えて白手袋を嵌める。
 それからビロードケースにガラスペンを並べて置き、婦人の前におく。
「当店では、この4種を扱っています」
 シンプルにガラスを捻った作られたもの、色ガラスで作られたもの。
 それに細かな総称を施したものに、形に工夫を凝らしたもの。
 それらを並べたケースの隣に試し書き用のインクと紙を用意する。
「そうね、どれにしようかしら」
 婦人はそれぞれの握り混み具合やインクの入り方をじっくりと吟味しているようだった。
 やがて形に工夫を凝らしたものを手に取ると、これにするわと告げた。
「これが1番、私の手と相性が良いみたいでしたの」
「そうですか、それは良かった。ありがとうございます、またお越しを」
 なんだか不思議な婦人だったなと思いながら、文は彼女を見送ったのだった。


執筆:桜蝶 京嵐

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