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幕間

羽リスひろば

関連キャラクター:リスェン・マチダ

羽リス観察記
 ──白い小さな翼を生やしたリス。故に羽リス。
 いわゆる現代日本という世界からやってきたウォーカーであれば、まさにそのまま呼称するであろう生物だ。
 実際のところ、誰がその名前をつけたのかは不明だが──。
 きゅうきゅうと甘えるような鳴き声を出すそれは、この覇竜領域においてまったく似つかわしくない。
 飛び去る亜竜の影、けたたましい鳴き声。そして広がる荒野と痩せた大地──。
 捕食者から逃げたり餌を探す時、ごろごろと転がる岩や木々を走り回るより飛び超えてしまったほうが早いのは明白だ。
 故に、そんな過酷な場所でも生息できるよう進化したのだろうと言われている。

 しかし、羽リスも所詮は野生動物。
 警戒心もあるだろうし、自分の身や同胞を守るためなら牙を向くこともあるかもしれない。
 そう簡単には心を開くことはないだろう。
 少なくとも──この私にはまったく懐かないのだから!

 ──羽リス観察記


 昔、読んだ本のことを思い出す。
 あの時、行き倒れた少女(わたし)を助けてくれたのは──そう、ただの気まぐれだったのかもしれない。

「それでも」

 救われた事実は変わらないのだから。
 
「ナルちゃん」
「きゅ~」
 
 呼びかけると、応えるように小さくひと鳴き。
 そんな小さなしあわせを感じる今日を、明日を、その先を守っていきたい。
 そう願って──。
執筆:りばくる

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