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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

今日のフリック(フリック観察日記)

関連キャラクター:フリークライ

怪しき幻想的な灯り
 その日のフリックはキラキラとしていた。もう日も落ちたというのに色とりどりの小さな光がフリックの周りを飛んでいる。離れて見たら少し時期の過ぎたクリスマスのイルミネーションと勘違いしそうなありさまだ。
「なんか眩しいんだけど」
 フリックの頭の上で動き回る光を目で追っていたレンゲが不満そうな声を漏らす。
「キラキラ 嫌イ?」
「いやそうじゃないんだけど」
 ゆっくり寝れないじゃない! とプンスコするレンゲからフリックはその隣に生えている小さな花へと目をやった。人間の手のひらサイズしかない小さな植物だ。地面を這うように放射線状に伸びた葉っぱと一本だけ点に伸びた茎、全体的な見た目はタンポポに似ている。しかしそのてっぺんにはボンボンのような小さな白い花が一つ咲いていた。
 『妖灯花』と呼ばれる珍しい花である。
 土壌が適していないと育つことはあっても花開くことはないと言われ、花を手に入れると願いが叶うとも言われている。
 そんな妖灯花の特徴は花が咲いている間、周囲に魔力でできた明かりを飛ばすこと。どうやらこれで周辺の魔力を集め、種を作る養分としているらしい。らしい、というのは実例が少なすぎてよくわかっていない部分が多いためだ。
 ただしわかっていることの一つとしてこれは周辺の環境が安全でなければ行われず、滅多に見ることができる光景ではなかった。
 そんな光景が今、フリックの周囲で行われている。つまりは妖灯花は土壌が適しただけではなくフリックの上が安全だと感じているようであった。
「フリック キラキラ好キ」
「まぁ好きならいいんじゃない? 安眠妨害だけど」
 詳しいことはわからなくてもこの不思議な花が無事に種となってまた芽吹いてくれたらいい。ただそれだけでいいのだ。
 花が枯れるまでレンゲの文句は続くのだろうが。
執筆:心音マリ

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