PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

【幕間劇】

虚構と現実の間で生きる哀れで愚かな生命の話。

------ It was written in the stars. (そういう運命だったのさ)


関連キャラクター:Tricky・Stars

Sleepy Hollow
●Phantom

【-/-/- 雨のち曇り】
 仕事をした。簡単で単調で眠くなる仕事だった。
 並んだ生首を数えるだけの仕事は二度としたくない。
 ひょっとしたら本当に寝ていて夢の可能性もある。

 生首はどれも表情豊かだった。
 満面の笑み、泣きっ面、怒り、真顔、眠そう……少し苛つく小馬鹿にしたような表情のヤツもいた。
 数えているうちに連打して数え間違いがあったかもしれないが仕方ない。そのくらい単調なんだ。

 それで、そう、仕事をしたから報酬を[貰った](二重線で消され、『貰うはずだった。』に訂正されている)
 新鮮な生首をくれるというから、一番気に入ったものを選んだ。
 鼻と唇が削がれ、本来目のあるところは落ち窪み、焼け爛れて引きつり所々壊死した皮膚で覆われた、醜悪な生首。
 のっぺらぼうより余程酷い生首に愛着が湧いて――受け取ろうとしたら、手が滑って落としてしまった。
 地面に叩きつけられた生首は先程まであんなに活き活きとしていたのに、陶器の如くひび割れて壊れた。

 割れた生首の中から一枚の手紙が出てきたので読んでみる。

『偉大なる劇作家様へ。お前に誰かの心は動かせない、普通であることの真似ごとすら出来ないお前には!』

 最後まで醜悪な首だ。生意気な手紙を散り散りに破いて帰る。

 俺は、俺は、俺は。

「噫ファントム! ゴーストとどちらがマシだ? この俺に教えてくれないか」

 生首を数えていたカウンターはとっくに上限だったけど怒られなかったので良しとする。
 次の仕事は耳を数える仕事らしい。腕が疲れそうだと思った。

PAGETOPPAGEBOTTOM