幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
かみさまのいうとおり
かみさまのいうとおり
関連キャラクター:スティーブン・スロウ
- おうちデートはスロウリズムに
- 「な~に読んでんの?」
休日の昼下がり。
スティーブンがソファに寝転がって雑誌を読んでいるイルリカを、上から覗き込む。
「ファッション雑誌。一緒に読む?」
イルリカが読んでいる雑誌を、一緒にゴロゴロしながら読むことにした。
「私もこういう服着て、街を颯爽と歩いてみたいなあ」
イルリカは想像を膨らませているのか、両肘をついて頬に手を当てながら、目を閉じている。
「いいんじゃねえの、おめえなら似合うだろ。今度一緒に買いに行くか?」
「いいの? でも結構高いよ?」
イルリカが雑誌に書かれている服の値段を指差す。たしかに、結構なお値段で。
それをスティーブンは不敵に笑い飛ばす。
「構わねえよ、俺ぁ芸術家だぜ? このくらいのはした金なら払えらぁ」
そう言うと、イルリカは嬉しそうに目を輝かせた。
「いいの!? じゃあ、これとこれとこれと……今度の週末、買いに行こうね! 約束だよ!」
まったく容赦なく高価な服を選んでいくイルリカ。
スティーブンは微苦笑していたが、彼女が嬉しそうで、彼も嬉しい。ウィンウィンと言えなくもない、のか?
「ふあぁ……」
不意に、イルリカがあくびを漏らす。
「眠いなら寝ちまえよ。起こしてやるから」
「でも、スティーブンをほっといて私だけ寝るのも申し訳ないな」
「なら、俺も寝ちまおうかな」
ソファベッドを変形させて、二人並んで眠れるようにする。
「はい、おねんねしましょうね~っと」
「ん……おやすみ……」
イルリカはそう時間も経たずにすやすやと寝息を立てる。
スティーブンはごろりと隣に寝転び、彼女の手を握った。
彼のギフト『ボディトーク』で読み取れた、イルリカの感情は、至極穏やかなものだった。
これなら悪夢にうなされることもないだろう。
スティーブンはイルリカにつられるように眠りに落ちた。
次にふたりが目をさますのは、夕ご飯を用意しなければならない時間。
- 執筆:永久保セツナ