PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

怨めしき怪異譚

関連キャラクター:鹿王院 ミコト

夜道の光
 夜の道を照らすのは街灯くらいで、少年は薄気味悪さを感じながら足を速める。友達と遊ぶのに夢中になっており、気づいた時には既に日は落ちていた。
 暗い道は嫌いだった。見えないものが多いからこそ感覚は敏感になる。そして、小さなことにも反応してしまうのだ。
 数メートル先に何か光るものが現れ、少年は体をこわばらせる。その光は次第に近づいているようだった。あれは自分を狙う幽霊なのではないか? そんな不安が鎖となって体をがんじがらめにする。
 光はどんどんこちらに近づいてくる。少年はぎゅっと目をつぶる。それから一秒、二秒経って聞こえたのは靴の音だった。目を開けると男が横を通り過ぎるのが見えた。少年は大きく息を吐いて座り込む。急に脱力してしまったのだ。
 なんだか怖がるのもばかばかしくなって、少年は大股で歩き始めた。すると再び前方に光る物が見えた。
 またただの人だろうと、少年は自分に言い聞かせる。しかし、その言葉をあざ笑うかのように光は増える。一つ二つだけではない。軽く数えただけでも片手では収まらない。
 無意識の内に歯がガタガタと音を立てる。これは本当にまずいと肌で分かった。
 少年は恐怖に目を見開く。わかってしまったのだ。光る物が目であると。次第に理解していく。その目は腕をびっしりと覆っていると。
 少年は頭を上げる。そこには長い黒髪の女性が立っていた。
 覚えているのはそこまでだった。気づけば、自分は近くの公園で倒れていた。ただ、自分にかけられた見覚えのない服だけが、自分に何か不思議なことが起きたことを物語っていた。
執筆:カイ異

PAGETOPPAGEBOTTOM