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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

怨めしき怪異譚

関連キャラクター:鹿王院 ミコト

境目
【境目】さかい・め
①ある地域の区切りとなるところ。
②敵と味方が接している箇所。
③事象の分岐点。

 ――多くの辞典で調べると凡そ『境目』とはこういう意味を指す。今回はその『境目』の調査のほんの一例である。

『行方不明の児童が深夜に自力で交番に出現!』
 捜索願いが出されていた子供が唐突に夜の交番を訪れたニュースは、小さな町内のみならず全国的にニュースになった。帰省中の子供が行方を眩ませてから数日、警察はじめあらゆる情報、ボランティアが野山を駆け回って探し回ったというのに一向に見つからない。命の限界と言われている72時間はとうに過ぎ、親族も捜索隊も諦め半分。
 そんな折、夜の交番。当直はとうに過ぎ、住居部で眠る警官の耳元でけたたましいブザー音が鳴り響く。深夜2時半、電話ではなくわざわざ交番まで出向くとは緊急事態か。こう考えている間もブザーは鳴り続けている。ひとまず音声対応。
「こんばんは、ぼくA太です」
 最近この辺鄙な町をざわつかせている子供の名前に、警官は飛び起きて玄関を開ければ、草木に塗れて少々傷があるものの笑顔のA太が立っていた。

「目がいっぱいある女の子、えっと、名前はひみつなんだって! その子が「そのさかいめの先はひがんじゃぞ」って、ここまで送ってくれたんだ」
 彼岸。ゾっとする人々を余所に、A太は嬉しそうに送り届けてくれた少女の似顔絵を描いた。本来あるべき目の他に、頬や額に。更には繋いだ手の腕にも目があったらしい。
 ――それは何処かで聞いたことがある、眼を操ると噂の怪異とそっくりだった。

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