PandoraPartyProject

幕間

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怨めしき怪異譚

関連キャラクター:鹿王院 ミコト

大謬
 『学校の怪談』というものは凡そ何処の学校でも姿形を変えて真しやかに語り継がれている事だろう。
 其の大体が口頭で嘘か誠かの真偽を問わず大袈裟に――そしてアレンジが加えられ――人から人へ伝言ゲームの要領で伝えられる為に、話は弾ける寸前の風船の様に肥大化し、怪異も都合の良い様に姿形を変えて行く。
 『逢える条件』だとか――或いは『退散させる条件』も十人居れば十人共、些細な部分が違う事を述べるから人とは勝手である。
 然して、古今東西津々浦々。一つだけ人々の認識が統一されている事象があった。
 怪談とは【七つ】であるという事だ。そして其れ丈は皆口を揃えて同じ事を云う。『学校の七つの怪談でさ、』と。

 だが、疑念を抱く物好きな学生も居るもので、好奇心旺盛な数人――半数は帰宅部代わりに利用している――怪異研究部の少年少女達は、日がな【八つ目】を探す事に余念が無く、インターネットで得た知識を活用し、何とも胡散臭い出来になった謎の文言が綴られたお札や印の切り方を携えて――やっている事は校内の散歩に他ならないが。

 けれど、軈て彼等は夕暮れの校庭で(幸運/不運)にも出逢った。
 ――彼女は跳ねる様に快活な足取りで、裸足で土を踏み締め何かを探している。人か、獲物かは判らない。
 ――彼女は遅効性の怪談には見習って欲しい程、存在が世界に取って異物である事が一目見て判る。
 ――彼女を一目見たら、百余りの眼と眼が合うからだ。

「お、おい、今動画撮ってたか?」
「ちょい待ち。多分大丈夫、撮れてる……!」
「八つ目を見つけたって明日早速校内新聞を配ろうぜ!」
執筆:しらね葵

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