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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

蒼剣幕間

関連キャラクター:ドラマ・ゲツク

みみ
●よわい
「……」
「……………」
「……レオン君?」
「じっとして」
 正面からじっと見据えられ、骨ばった手が頬に触れた時。
 ドラマ・ゲツク(p3p000172)は自身の体温が何分か跳ね上がったのを自覚した。
 色素の薄い肌に余りにハッキリと現れる紅潮――血の気ばかりが恨めしい。
 すっかり形の良い眉をハの字にした――困り顔のドラマは上手くものを言えずに口の中でもごつくばかりだった。
(……レオン君、急にどうしたのでしょう?)
 発端は何処だっただろうか。
 これは何時もと同じ胡乱な時間の筈だったのに。
『満ち足りていて物足りない何時も通りの日常だったに違いないのに』
「ドラマ――」
 自身の目をじっと覗き込むくすんだブルーはそんな何時もよりもずっと深い。
 レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)に溺れそうになる位に見つめられれば、やはりドラマの胸は高鳴った。
 こんなの、どうせ碌な結末じゃないのに。ぜったいに。
「耳、いくぞ」
 ほら、やっぱり!
 膝枕をして世話を焼いてやる事はある。
 だが、自分がされた事は無い。今日という日としおがあんな事をしなかったら。
 真夜中に奴がそれを察知したりしなかったらこんな事は無かったに違いないのに。
「……っ……」
 耳(じゃくてん)をまさぐる冷たい棒の感触にドラマの背筋がびくん、と跳ねた。
「じっとして」と囁くバリトンは実に無意味に耳元で、吐息を感じるような距離こそが今ばかりは恨めしい。
「……、っ、ぁ……っ……」
 そういうの、クソ依頼でやる予定ではないのですか???
 かしこいえいちのほしょくしゃが頭の隅で囁いた。
 しかし、そうした後で彼女は思い直す。
(――多分それは。クソ幕間でも同じ事なのでした……)

 ――えいちのほしょくしゃはみみがよわい。そんなことはおおむねだれでもしっている。
執筆:YAMIDEITEI

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