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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

蒼剣幕間

関連キャラクター:ドラマ・ゲツク

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●最近犬系(違いますが!?)
 深夜のローレットに既に人気は減っていた。
 数える程しか残っていない酔客は赤ら顔で、『店員』もこの時間になれば呆れて帰る。
 つまる所、カウンターで呑み続けている連中は『セルフサービス』極まりなく、無為な時間を過ごしていた。
「……」
 テーブルに頬杖を突くドラマ・ゲツク(p3p000172)はそんな連中とは随分違う。
 持ち込んだ推理小説の新刊はとっくの昔に読み終えてしまった。
(……趣味では無かった筈なのですけど)
 昔はそういう小説の類は読まなかったのだけれど、誰かさんの好きなミステリ・シリーズだから――
 切っ掛けはそんな事で十分だったのだ。七冊も重ねたシリーズも、読み切ってしまったのだから我ながら呆れる他はない。
「……」
 相変わらずの酒場で似合わない少女が一人ちょこんと座っている。
 彼が――レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)が今日忙しいのは知っていたけれど、一日に一度も顔を見れないのは少し辛い。愉しくない。
「……………」
 顔を出さないかなあ、と考えてもう何時間か。
 食事も取って、少しお酒も呑んで、持ち込んだ本も読破して――日付すら変わってしまった。
「……来ないかなぁ」
 ポツリと呟いたドラマにぺたんと垂れた犬耳を幻視するのは難しくない。
「来たけど?」
 そしてそんな彼女の肩にポンと置かれた手の主を想像する事も簡単だ。
「……ふぇ!?」
 振り返ったドラマの頬にレオンの指がめり込んだ。
 実に、実に、実に。
 それは子供染みた悪戯だ。全く馬鹿馬鹿しい話だが何ともはや。
「大人気なく気配を殺して回り込むの辞めて貰っても構いませんか!?」
 けたけた笑う世界一の冒険者とやらがどれだけ意地悪かを教えてくれる――
執筆:YAMIDEITEI

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