PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

『都市伝説“プリズム男”目撃談』

夜遅くまで遊んでいると、虹色の煌めきを見かけることがある。
逃げれば何も起きないけど、虹色に近づいてはいけないよ。
“プリズム男”が、やって来る――


関連キャラクター:アイザック

プリズム男は見ていた
 現在、『プリズム男』という都市伝説が世間を賑わせているのをご存知だろうか。
 "見た"という人もいれば、"会った"人もいるし、噂でしか聞いたことのない人だっている。
 しかしどちらにせよ、それぞれ口にすることは同じ。
 ――夜に虹の光を見つければ、それが出会った証拠。

「……なーんて書き込みを見つけてさあ」
「えー? そんなん眉唾モノっしょ。実際にいるわけないじゃん」
「そうそう、ただ怖がらせるためだけのニセモノだって」
「実際私達だって見たこと無いしねー」
「ネットはデマも多いからなー。それも似たようなもんじゃね?」
 真夜中、数名の少年少女達は各々が携帯を片手にコンビニの前でたむろする。
 大人たちの目をかいくぐり、昼間ではなく夜に集まって遊ぶことを夢見てきた、成長真っ只中の子供達。
 『自分達はもう大人』なんて言葉を振りかざし、自分が子供であることから目を背けてきた。
「っつーか今日どうするよ? 結構時間経っちゃってるけど」
「えー、どうしよっか。カラオケでオール?」
「まあこの時間帯はそれしかないよね~。6時間コース行っちゃう?」
「いっそ朝過ぎてもやっちまおうぜー」
「「さんせーい」」
「じゃ、行くかぁ~」
 大声で笑いながら少年少女達の声がコンビニの前から離れ、別の場所へと向かう。
 だが彼らは気づいていない。既に彼らは、ターゲットになっていることを……。

「ん、あれ?」
 1人の少年が何かに気づいて、ぴたりと足を止める。
 その何かの正体がわからなくて、キョロキョロと辺りを見渡して……。
 瞬間、キラリと光った僅かな虹色の光が目に突き刺さる。
「えっ、えっ?」
「どしたん?」
「いや、今虹色の――」
 光が見えた、と口にしようとした寸前。光を見た少年と、その周囲にいた少年少女達の耳に音が届けられる。
 否、それは音ではない。明確な意志を持った声。少年少女達に対しての問いかけが言葉となって、彼らの鼓膜を揺すって脳に理解を与える。
『――――』
 その時、なんて言われて、なんて答えたのかまでは……正直、彼らはもう覚えていない。
 彼らは都市伝説に出会ってしまったという恐怖で泣き叫び、プリズム男に『ちゃんと帰る』と約束を取り付けるのに必死で、会話が頭に残っていなかったから。

 後日、都市伝説のサイトに書き込みが一気に増えていた。
 プリズム男に"会った"、"会話した"、"見た"という、複数人の証言。
 どれもこれも急いで書き散らした内容で、にわかには信じがたい書き込みばかり。
 けれどどれも必死に記憶を蘇らせて書いた内容であることは、ひと目見てわかるものだった。

 そして証言者たる彼らの言葉もまた、"夜に虹色の光を見た"から始まっていた……。

PAGETOPPAGEBOTTOM