PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ドラネコさんのおはなし

関連キャラクター:ユーフォニー

頑張るあなたへの贈り物
 その日のユーフォニーは戦闘を伴う依頼を終えて、酷く疲労が溜まっていた。
 少しだけ仮眠を取ろうと思い、ベッドに倒れ込む。瞬きを数える暇さえなく、彼女の意識は闇へと落ちてゆく――。

 目を覚ましたのは何十分後、何時間後だったろうか。時計を確認しようと、寝返りを打って……異物が目の前に飛び込んできた。
「これは……?」
 よく見ると、それはドラネコ用に加工した干し肉であった。枕元に置いてある訳を不思議に思っていると、「ニャー」という愛らしい鳴き声が聞こえた。
 上体を起こし、そちらに視線を向けると、胡桃色のドラネコが床の上で丸まっていた。彼女の飼いドラネコの一匹、フリージアである。どちらかというと活発な性格のフリージアだが、今日は大人しく翼をたたみ、まっすぐにユーフォニーを見上げていた。
 どこかで耳にした知識が彼女の頭をよぎる。猫は自分が捕らえた獲物を飼い主の元へ持ってくることがあるという。その理由には複数の説が存在するらしい。飼い主に褒めてもらいたいからだとか、狩りの方法を教えてあげるためだとか。
 いいや、仮にそれらの知識が無かったとしても、ユーフォニーは気付いていただろう。
 疲れ果てた自分を心配して、この子は食べ物を置いてくれたのだ。
「ふふ。これは私には食べられませんよ。ドラネコちゃん専用なんです」
 ――けれど、フーちゃんのその気持ちが、私にとっては何よりも嬉しいです。
 彼女のやさしい手が、フリージアの頭を撫でる。フリージアの甘えるような鳴き声は、暖かな色彩を纏って、ユーフォニーの元へと届いた。

 翌日、彼女たちのやりとりを見たエイミアが何かを学習したのか、ユーフォニーの枕元に乾電池が置いてあった。
 翌々日には雑草が置いてあった。
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