幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
探偵と騎士と傭兵
探偵と騎士と傭兵
関連キャラクター:國定 天川
- 闇ファイトクラブ。或いは、誰にも言ってはならない仕事…。
- ●闇試合
夜も遅い時間のことだ。
とある路地奥、男たちが集まっていた。
円を描くように何かを囲んで、唾を飛ばして、怒声を上げる。
男たちの作った円の真ん中では、巌のような巨漢2人が血塗れで殴り合っていた。
「裏社会のファイトクラブってところだな。元締めは、先月潰れたマフィアの幹部だ」
荒くれ者の群れを見下ろし國定 天川が手元の紙をぺらりと捲る。
天川の左右から、手元の紙面を見下ろしているのは金の髪の偉丈夫と、褐色肌の青年であった。前者の名はベネディクト=レベンディス=マナガルム、後者の名はルカ・ガンビーノという、天川の同僚たちである。
「マフィアの幹部とやらは、下にいないな? それとも俺が見逃しているだけか?」
殴り合いをする男2人に目を向けて、ルカはそう呟いた。
「いいや。そいつは普段、現場に顔を出すことはねぇ。飛び入り参加の命知らずが使えそうだと思った時だけ、取り巻きを連れて現れるって話だぜ」
咥えた煙草に火を着けて、天川は答える。
「つまり幹部に逢いたければ実力を示せということか。何人か強そうな奴がいるな……なかなか楽じゃ無さそうだが」
誰が行く?
ベネディクトはそう問うた。
捕縛対象を誘き出すため、誰かが試合に参加しようというわけだ。
一瞬、3人は顔を見合わせ、拳を掲げる。
じゃんけんである。 - 執筆:病み月