幕間
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豊穣草子
豊穣草子
関連キャラクター:トキノエ
- やまいだれ
- 腐敗した果実がひとつ、信仰の対象として転がっていた。
豊穣――神威神楽、黄金の穂が美しい、絶望を越えた先。そんな魅力的な理想の郷にも幾つかの汚点がある。
そのことは神使にとって当たり前の現実なのだろう。
昔々、あるところに小さな小さな村がありました。
その村では奇妙な因習があったそうです。
やまい、やまい、病垂れ、これを治すは神への冒涜。
あまい、あまい、天垂れ、あれを拒むは神への否定。
命は短い、そう謂うものだ。命は流れる、そう謂うものだ。
教えに従い飲み干した者は、ばたり、と弱毒に震えたと伝わる。
ところで現在、村の存在をお伽とするのは難しい。
静かに静かに、這わせた蠅の仔、密やかに胎へ衆劫する。
――どうか置いていかないで、何者かを追うように魔障がのたくる。 - 執筆:にゃあら