PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

潮騒商館

関連キャラクター:ラダ・ジグリ

世にも珍しい獣。或いは、ラダ・ジグリの雷獣狩り…。
●雷獣
 馬車が停まった。
 御者席から地面に降りたラダ・ジグリは、荷台に積んでいたライフルを背に担ぐ。
 ところはラサのとある遺跡だ。
 遥か昔には“雷獣”とやらを崇め奉るとある部族が暮らしていたと聞いている。
「そんなところに“雷獣が出た”なんて噂を聞いてはな。うちの商会も近くを通るし、安全確認程度はしておくべきだろう」
 なんて、独り言を口にしてラダは周囲に視線を巡らす。
 この日、遺跡と雷獣の調査に訪れたのはラダ1人ではない。とある事情により、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤを半強制的に応援として呼んでいるのだ。
 しかし、今のところヴァレーリヤの姿は見えない。
「時間厳守かつ現地集合と言い含めていたはずだが」
 20分ほど待っただろうか。
 もうじき、集合時間に定めていた“夕方”が終わる。
 ラダが苛立ち始めた頃に、やっとヴァレーリヤが現れた。
 どういうわけか、遺跡の方から。
 けれど、1人ではない。
 ヴァレーリヤの隣には、ソアが並んでいるではないか。
「彼女は?」
「遺跡で眠っていましたの。ちょうどいいので、お手伝いを頼んだのですわ!」
「退屈してたからね! 雷獣と戦うんだったら、ボクに任せて!」
「……いやぁ」
 “遺跡に現れた雷獣”は、きっとソアのことだろう。
 その事実を告げるか否か、ラダは頭を悩ませる。
 
執筆:病み月

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