PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

潮騒商館

関連キャラクター:ラダ・ジグリ

用心棒。或いは、商会長の苦難…。
●ある晴れた日曜日
 空は快晴。
 時刻はもうじき昼になる。
「部下から連絡があった。もうじき来るぞ、準備はいいか?」
 ライフルにゴム弾を装填しながら、ラダは問う。
 ラダの問いに無言で頷き、亘理 義弘が数度、拳を虚空へ放つ。
「いつでも滾ってる。いつ、誰が、どこから攻めて来ても対応してみせるぜ」
「そうか。頼もしいが……くれぐれも油断してくれるなよ?」
 木造の倉庫を背に、ラダはライフルのスコープを覗いた。
 ターゲットの姿は見えないが、部下の報告が確かなら、きっともうすぐ現れるだろう。
「油断はしねぇ。ラダがわざわざ俺を用心棒に雇うぐらいだからな。よほどの相手なんだろう」
 そう言って義弘は、チラと視線を倉庫へ向けた。
 ラダからの依頼はこうだ。
 何があっても、倉庫の中身を死守すること。
 つまり、ラダが外部の手を借りてまで守り抜きたい商品が、倉庫の中にあるのだろう。
「よほどの値打ちもんか? いや、どうでもいいな……どんな奴が相手なんだ?」
 倉庫の中身に興味は無いが、これから戦う相手については気にかかる。
 義弘の問いに、ラダは微妙に困ったような顔をして、1つ、重たい溜め息を零した。
「ターゲットは紅い髪の修道女だ。そして、倉庫の中身は値の張る酒さ」
「……おい、まさか」
「無駄話はここまでだ」
 カラカラと、メイスを引き摺る音がしていた。
執筆:病み月

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