PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

きょうの( ‘ᾥ’ )

関連キャラクター:リコリス・ウォルハント・ローア

フリアノン・プリン(固め)
「あああああっ、先に食べただろ! 皆のデザート用に買って来たフリアノン・プリン! 先にデザート食べちゃ駄目だろリコリス!」
 冒険者依頼と言えば野営、覇竜にある静かな湖畔は夕暮れで、荒々しくも美しい大自然が広がっているのだが……それを台無しにするように少年の声が響き渡った。温かな焚火の前では、口の端にプリンの破片を付けた狼耳の少女に角の生えた少年がじとっとした目付きで食って掛かっている。
「えー、先に食べても後に食べてもお腹には入るんだよ?」
「そういうんじゃなくて! 皆で一緒に食べるのがこういうのはルールだろ! しかも大きな方が消えてる……!」
 恨めし気に標・預安はリコリス・ウォルハント・ローアの胸をぽかぽかと叩こうとする。しかし相手が年上の娘だということに気付き手を引っ込めた。行き場所のない感情がじたばたと妙な踊りとなって預安の手足を動かしている。それは地団駄を踏んでいるようにも見え、非常に間の抜けた様子であった。
「いいもんー小さい方のプリンはちょっとお高い大人の固めプリンだからなーうらやましがれよ! ほら! 旨そうだろ!」
「大きい方はふにふにで食べ応えあったよ?」
「うるへー! やーいやーい子ども舌ー! 大人のカラメルの苦さなんてどうせわからないものなー? あーおいしいおいしいー」
 わざとらしくリコリスを羨ましがらせようとする預安。自分自身の行動が子どもじみた行いだということには、全くもって気付いていないようであった。
「( ‘ᾥ’ )」
 何とも言えない顔になったリコリスの手が素早く閃く。片手には大匙。狙うは預安のプリン。

「んー! ほろ甘苦いのもおいしいよね、預安さん!」
「ああっ僕のプリンーーーー!!!! 兄さんたち以上にひどいよ!! 血も涙もないんだなリコリス!!」
 狩人の早業によって大匙で掬い取られた結果、一気に量が減った預安のプリンであった。
執筆:蔭沢 菫

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