幕間
天目工房開発録
天目工房開発録
関連キャラクター:天目 錬
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- 天目 錬の開発道具 覚書
- ●埴安姫
土行の力を付与された直径65cm程度のスライム状の球体。練達の民が使っていた「バランスボール」を思わせるサイズ感。
刀剣などの金属を入れるとその金属を包み込み、金に対して土の力を働かせることでその切れ味を取り戻させる。
また、強い土行の力の中に晒すことで水行に対する相克を発生させ、錆を取る効果も見られる。
ただし、通常の手入れと同様に入れる金属の大きさ、または切れ味の鈍さや錆の多さに比例して所要時間は増加する。 - 執筆:和了
- 【オンミョウソードDX】
- ・詳細
孤児院の子供達へのプレゼントとして開発されたオモチャの剣。鍔の辺りに五行を表す火水木金土のマークの描かれたダイヤルを回す事で刀身の色と振った時の音声を切り替えることが可能だ。
・経緯
スミレが錬に「子供達に何かプレゼントしたいのですが、何かいい案はありますでしょうか?」と聞かれ思いついたのが練達製のヒーローグッズ。散策中に流れていたテレビCMを見て、自身の扱う陰陽五行と鍛治技術で同じようなものを作れないだろうかと思い製作された。
しかし、完成した一本目のオンミョウソードは形状こそオモチャ風だが陰陽五行の属性を纏うことのできる真剣だった。錬が「カッコいいだろ。きっと子供達も喜ぶ」と渡したところ「子供達に怪我をさせる気なのでしょうか」とツッコまれ二本目以降は上記の仕様で怪我をしないような素材で作成された。 - 執筆:わけ わかめ
- 少し便利な人形道具
- ・お茶点て人形
人間種に似た和服を着て茶筅を持った30cmほどの人形。茶碗を用意してから軽く魔力を込めるとその場でお抹茶を点ててくれる。
水行の力が込められているためお湯の用意は不要。また腹部に棗が入っており、ここから抹茶を取り出して勝手に入れてくれる。時々補充する以外手間がかからない他に、湿気も防いでくれる。
なお、お抹茶を点ててくれるが、点ててくれるだけなので人に出したりする場合は手動で運ばなければいけないのが欠点。
・作成経緯
豊穣にてお抹茶を点てているのを何度か見た錬が、代わりに点ててくれる道具を作ってみたらどうだろうと興味本位で作ったもの。最初は動く茶筅を想定していたが、周囲から不気味だと突っ込まれたため人形が追加された。その結果抹茶をしまう場所が追加されている。
作ってから人のところまで運ぶ機能も入れるべきだったと後々になって少々後悔しており、改造型も現在作成中。
作成に当たり様々な道具を錺から借りており、第一回試運転の際に点てられたお抹茶をいただいている。
曰く、面白いし人が点てたわけでもないのに味がよく似ていて驚き、とのこと。オフの時に使いたいからと完成品一号は彼女の元に行ったらしい。 - 執筆:心音マリ
- 鋳とは柱。或いは、山村の神器…。
- ●鋳
「鋳とは柱。鋳造とはつまり、万物の柱……すべての中心だ」
例えば、柱が弱ければ家はあっという間に潰れてしまう。
背骨が折れては、人はまっすぐ立つことも出来ない。
どこかの国では、世界とは巨大な1本の樹によって支えられているという伝承もある。
暗い小屋の片隅で、天目 錬は煌々と燃える炉へと視線を向けていた。
頭に捲いた手拭は、汗を吸い込みすっかり色を変えている。
頬から首へ、滝のように汗が流れた。
炉から視線を逸らさぬままに、錬は腕を伸ばして水瓶にかかった柄杓を掴む。生温い水を一杯、一息に飲み干して肺に溜まった熱い空気を吐き出した。
炉の中には、すっかり溶けた銅がある。
「……よし」
並々と器に注がれた銅を引き抜いて、傍に置かれた金型の中へと流し込んだ。
鋳造。
加熱して溶かした金属を型に流し込むことで造る金属製品だ。
鍛造と異なり金属強度の面で劣るが、手間がかからず量産も容易……練ほど腕があれば、金型に複雑な模様を刻むことも可能となるだろう。
金型は3つ。
銅鏡、銅鐸、そして銅剣。
豊穣のある山村で古くより祀られる神器である。
「以前の神器は、村を災厄から守ったことで崩れ去ったと聞いているが……俺の造った神器にも同じことが出来るだろうか」
極限まで話を単純化してみれば、村に伝わる神器はどれも単なる“銅”だ。
そこに魔術的な仕掛けなどは無く、ましてや神の存在さえも不確かなものでしかない。
以前の神器が村を災厄から守ったという話からして、信憑性という面ではあまり高くないというのが錬の見立てだ。
それでも、これらの神器は村にとって大切なものだということは分かる。
銅鏡、銅鐸、銅剣……これら3種は、村の柱なのだろう。
村に住まう人々が、まっすぐに前を向いて生きていくには、これらが必要不可欠なのだ。
だからこそ、錬は仕事を引き受けた。
己の知識を総動員し、技術の粋を尽くして作った金型には村の存続を願う祈りが細かに彫り込まれている。
「後は冷え固まるのを待つだけ……あぁ」
いい仕事をした。
今にも倒れてしまいそうな疲労感と、そんな満足感を胸に抱いて、錬は流れる汗を拭う。
・銅鏡、銅鐸、銅剣
豊穣のとある山村に祀られている3種の神器。
3つ揃ってこそ意味を成すものと伝わっており、村に降りかかる災厄を払う力を持つという。
古くから村に伝わっているもので、これまで何度か代代わりをしている。
村に降りかかる災厄を退けると力を失い崩れ去るというが……真偽のほどは不明である。
そもそもからして“どのような神”に関係する神器なのかも定かではない。
練の鋳造した今代の神器には、錬が考案した「村の存続を願う祈り」が細かに彫り込まれている。 - 執筆:病み月
- 来たる冬のための暖かな小物
- ●懐炉
子供でも持てて、危険性の少ない暖かな小物が欲しい。そんな声に応じて制作された物。
小さな布の中に軽くて薄い石の板のような物が入っている。錬の火行の力が込められているためか、常に仄かに温かい。石の板は土行の力で強化されており、軽くて薄い割には丈夫。
危険性を減らすために、暖かさは一週間程しか保たない。どうにかして冬の間ずっと保つように改良しているが、そうなると出力が上がり軽い火傷を負う可能性もあるので、なかなか難しいようだ。
「今年中に改良版を渡したいんだがな……」
まだ秋になったばかりだが、季節はあっという間に冬へと移り変わってしまう。一週間でも十分、と言われそうな気がするが、折角ならばより良い物を渡したい。
迫る冬の足音と自身の職人気質の狭間で、錬は試行錯誤を繰り返しているようだ。 - 執筆:萩野千鳥
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