PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

二人の話

関連キャラクター:九十九里 孝臥

君しか見えない
「好きです、付き合ってください」
 そう告白されている想い人の姿に、孝臥は逃げる様に家に帰る。
「何をしているんだ、俺は……」
 もっと自信があれば何か変わったのだろうか?出自も性別も気にしないような男だったらこんなに悩むことはなかったんだろうか?
 いつもは仕舞っている負の感情が溢れて止まらない。
「孝」
 優しい声で2人だけの愛称を呼ばれて、優しくて逞しい腕に捕らわれる。
「弦」
「どうかしたのか?」
「何も、何もない」
 こんな醜い自分は見せられない。でも、この腕を振りほどけない。チラリと上目で弦月を見ると、いつもよりも何だか甘く見える笑顔で孝臥を見ていた。
「なあ、俺はお前が何より大事だ。俺はお前しか見てない。お前以外はどうでもいいんだよ」
 まるで恋人に言うかの様に甘い言葉。それだけで気分は上向くのだから単純な脳をしている。
「そういうのは好いた者に言うべきだ」
「ん?合ってるだろ。お前の事好きだからな!」
 その好きはきっと『友達』としての好きだろう。でも、友達として……なら。
「俺もお前が好きだ。大事な親友だからな」
 弦月の腕が、体が強張ったような気がしたがきっと気のせいだろう。幾分かスッキリとしたので夕食を作ろうと思い立ち、弦月の腕を軽く叩くとすぐに拘束は解かれる。今日の夕食は何にしようかと考えながら台所へ向かう。




「反則だろ、くそ……」
 顔を赤らめ苦々しく呟いた弦月の言葉は孝臥には届かなかった。
執筆:紫獄

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