PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

美味しかったもの、いろいろ

関連キャラクター:トスト・クェント

カプレーゼ

 海洋。潮風と青の国。
 今日トストが口にするのは――

「かぷれーぜ?」
「おう。兄ちゃんも食ってくか?」
「うん、おれで良ければ是非!」

 依頼の帰り道。農家の畑を荒らすモンスターを凝らしめたところ、お礼にと言うことで声をかけられたトスト。
 農家の自慢なのだというトマトは、それはもう真ん丸で瑞々しくて、それから甘いのだとか!
「でもご馳走になっていいのかな?」
「兄ちゃん頑張ってくれたろ、ほんのボーナスってやつさ!」
 溌剌と笑う農家にトストは恐る恐る頷いた。
 カプレーゼ。それが何を意味するのかわからない。きっと美味しいことに間違いはないが、それでもやはりどきどきしてしまうのだ。
(……トマトだし、やっぱりサラダなのかな?)
 うーんと首をかしげてみる。が、解らない。カプレーゼ。カプレーゼ。カプレーゼ! なんて不思議な響きだろう。
 表情をころころ変えるトストの気持ちを知ってか知らずか、農家は真っ白な平たい皿に『カプレーゼ』を乗せてやってきた。

「これがカプレーゼさ。採れたてトマトだから上手いぜ!」
「……!!」
 ごくり、と喉がなる。
 特製のドレッシングがかけられたそれは、モッツァレラチーズとクリームチーズの二種類を丁寧に用意してくれた。添えられたバジルも相まって彩りは鮮やか、成る程、これがカプレーゼ!
「いただきます」
 口のなかで広がるトマトの甘味と酸味、まろやかなチーズがトマトと調和する。バジルの爽やかさが鼻を抜ける頃には、ドレッシングがすべての味を上手く纏めてくれている頃だ。
「わっ、こ、これ、すごく美味しいよ!」
「だろう? トマトは嫌われもんだが、食いかたによっちゃあ化けるんだな、これが!」
 煌めく陽光をうんと浴びたそのトマトが織り成すカプレーゼ。
 今日も今日とてまたひとつ、美味しい食べ物を知ってしまった。
「うーん、美味しい……!」
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