PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アンデッド・リデンプション

redemption
〔抵当に入れた財産の〕取り戻し、受け戻し、買い戻し、回収
〔義務・約束の〕履行
《神学》罪のあがない、贖罪
《金融》償還、兌換

◆あらすじ
失った記憶を取り戻すべく、マリカは近親者の眠る墓を探す旅に出ます。
その道中で人や死者を助けたり、『お友達』を増やしたり、悪霊を鎮めたりもするでしょう。
旅の邪魔をする墓荒らしや墓守をかわいそうな『お友達』に変えてしまうこともあるかもしれません。

しかし一向に探し物は見つかりません。
それもそのはず、彼女は本気で探してなどいないのですから……。

この物語はやがて訪れる贖罪に至るまでの前日譚。


関連キャラクター:マリカ・ハウ

中身知れずのウィッカーマン
 舞ら提げた魔除けの名を誰が記憶していたと謂うのか、餓羅餓羅と嗤う骸の厚い面、肉と血と皮がひどく綺麗に『直されて』いる。継接めいた糸の痕もなく、ただ注入された緑は此方と彼方を干渉し、謳わせる悪夢なのだろう。お菓子を渡さないと悪戯されてしまう。そんな夢現も忘れた愚かな者がぐつぐつと冒涜の限りを尽くしていた。まったく、お粗末な化粧だと何者かが嫌悪を吐いた。謂わなくたって知ってるさ、彼も彼女も最初から『死後のこと』なんて欠片も信じちゃいなかったのさ――その末路が虚のザマだ、お友達と見做すには些か、中途半端で醜いだろう。可もなく不可もなく。カーも無くイブも無く。本当に狂い、腐れた程度の、ただのハー、崩壊寸前の色薄な緑眼の怪物……。
 死霊秘宝を紐解いてしまったのは運命に依る、ある種の残酷な展開だ。到れるほどの罪すらも重ねず、怠惰に探し物へと虚つく。もう如何しようもない『あなた』だ。外道に縋り憑いた何方かも既に白骨、コツコツと集らせた塩気も風の魔物に攫われる。それで、消えるしかない死者の君「ついてくるんだね♪」――そうする他にないのだろう。絶望は絶望、在りの儘、真直ぐに、歪んで這い蹲る以外を忘れる。
 にやけ面のパンプキン・パイが大渦巻きを孕み、情け容赦のない墓穴を破壊する。土に塗れた棺は番を失くし『なくした主』を求めて叫ぶ。腹が空いた、腹が空いた、腹が空いたよぅ……蓋した事に後悔はなく、莫迦げた御伽噺に加わるのだ。これにてハッピー・エンド、これにてトゥルー・エンド。「そっちの方が楽しめるよね☆」意味を殺された言の葉が脳味噌――洟垂れとして漏れ、あふれる。ラバース或いはリ・バース、粘つく混沌の坩堝――ロリポップで要らないものを掻き出す。ウィッカーマンを薙ぎ斃せ!
 ハロウィンだ、ハロウィンだ、昨日も今日も明日も明後日も、ウィリアムの嘆きが届く。巻き付けた木乃伊の布に木々が発狂し新たな道として見做されたのだ。子供の背を羨み、嫉むかのようにピーカブーが従う。
執筆:にゃあら

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