PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ホストクラブ『シャーマナイト』

関連キャラクター:鵜来巣 冥夜

If she is a pest
 〇月△日
 よく自分を指名してくださるXXXさんですが、ここ最近俺に対しての付きまといが多いです。
 あとは、同担の他のお客さんが来ると、そのお客さんへの嫌がらせみたいなこともしています。
 そろそろ出禁を検討したほうがいいかもしれません。

「……お客様は「原則」神様ではありますが、疫病神もいるんですよ」
 開店前の19時30分。
 ウーロン茶を一口啜り、冥夜は従業員の引継ぎノートを斜め読みして苦笑いをこぼす。
 そんな彼の様子を、オランは不思議そうに眺めている。
「俺は別に、そんな疫病神には当たったことはねぇけどな」
「まぁ、客商売である以上、そんな疫病神もいる。そういうものです」
 ノートを閉じ、元の場所にしまう。
 とはいえ、と、冥夜は再びオランの方に振り返る。
「……とはいえ、そんな奴は、『自分だけ』を見てほしい拗らせた面倒くさい神様なのですよ」
 笑ってはいるが、口元だけ。その目は本当に疫病神を忌み嫌っている。

「私は今日、他店のオーナーへ挨拶回り……要は不在です。……オラン、店のこと、頼んだぞ」
「ウィッス。疫病神は他のお客様のエネルギーまでもっていっちまう」
「そういうことです。お引き取り願いましょう」

 さて、と冥夜はドアに手をかけた。
 夜のネオン街にその背中が溶け込んでいくのを、オランは静かに笑いながら見送った。
執筆:水野弥生

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