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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

セララの幕間

関連キャラクター:セララ

【怪談喫茶ニレンカムイ】セララの喫茶店訪問記
 練達の希望ヶ浜。
 地球から召喚された事により強制的な変化を受け入れられなかった者達が住む場所。
 『混沌』と言う名の異世界。そして『夜妖』という名のモンスター。
 理不尽と不条理から目を瞑り、元の生活を取り戻そうとする者達。
 練達と言う場所自体純種からすれば異世界感はあるが、それは希望ヶ浜も例外ではない。
 夕暮れ時。
 そんな場所の一角をセララは散策していた。
 歴史を感じさせる町屋が立ち並ぶその場所は、夕日に照らし出され綺麗だ。
「そういえばそろそろお腹がすいてきたな」
 ふと横を見れば一つの看板が目に入る。
 怪談喫茶ニレンカムイ。
(怪談喫茶?なんだろう)
 怪談と喫茶店が結びつかない。
 興味も相まって中に入る。
「いらっしゃ……!?」
 目を見張る店員らしき女の子。セララと同世代ぐらいの子だろうか。
「魔法騎士セララちゃん!?」
 わーわーと騒ぐ店員。
「ちょっと翠、何やってるの!」
「だってだって!」
 双子だろうか、スイと呼ばれた子と似た子もそわそわしているのが見て取れる。
「こら!二人ともお客様を席に案内しなさい!」
「「はあい!」」
 店長らしき女性が見かねたのだろう、カウンターから声が飛んでくる。
 席に着き手渡されるメニュー表。
 中身自体は他の飲食店となんら変わらないメニューである。
 このお店のお化け要素のあるオリジナルメニューもあるが、これで怪談喫茶を名乗るのは疑問である。
 そのあたりは後で聞くとして、どうしても気になるものが一つ。
 チョコ増し増しドーナツ。
 チョコレートの生地に更にチョコレートでコーティングした代物である。
 これをついつい山のように注文してしまう。
 チョコチョコしい。至福のひと時。
 ……なのだが、少女達の視線が凄く気になる。
 一人は目を輝かせ、もう一人は気にしないふりをしつつもちらちら気にしてるのがわかる。
「どうしたの?」
「あの、魔法騎士のセララちゃんだよね!?」
 『魔法少女セララ the MOVIE』。秋葉原の方で放映されていた映画であるが。
 ああ、なるほど。この二人はあれを見たのか。
「そうだよー」
 芸能人に会ったような反応する少女達。おまけにローレット所属である事も知っているらしい。
 冒頭で述べた通り希望ヶ浜は非日常を容認しない。それを知っている、という事は。
「ここ怪談喫茶ニレンカムイはカフェ・ローレットと連携し、夜妖の情報も提供しているんです」
 結月と名乗った女性は続ける。
「我々3人が情報屋として皆様に依頼を出しますので何かあれば宜しくお願いします」
「わかりました」
 セララとしても断る理由はない。
「それと……怪談喫茶って?」
「ああ、それならーー」
 ちらっと結月が本棚の方へ目をやると
「これだよ」
 蓮と名乗った少女が1冊の本を持ってくる。その内容は怪談モノである。
 怪談系の本を集めたり、過去の夜妖の情報を本にしたりして店においてあるらしい。
 帰り際。
「あの2人、見ての通りセララさんの大ファンでして。仲良くしてやっていただけると嬉しいです」
「勿論です」
 そして翠と名乗った天真爛漫な少女とこまっしゃくれて素直になれない蓮がセララを引き留め、結月に叱られたのはご愛敬である。
執筆:アルク

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