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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

メイメイと不思議いきもの図鑑

関連キャラクター:メイメイ・ルー

もっちりアザラシ
●ぽてーん
 もっちりアザラシはもちもちだ。
 触ればふにふにもちもち。つんっとつつけば、ぽよーんっとした弾力。
(お団子……?)
 見た目も白いから、もうそれにしか見えなくなってしまった。
 最初は触ってもいいのかな? と指を伸ばしたが、もちもちつついてもアザラシは(´-ω-`)な顔でお腹や顔をぽよぽよさせて転がっている。これでは肉食獣に遭遇したら危ないのではないか……とメイメイはしゃがみこんで見守っていたのだ。
 そもそも、もっちりアザラシの生息地は海の中だ。海の中では陸地の動きとは比べ物にならないくらい素早く動き、魚たちを優雅にハントして生きている。
 なのに何故か、落ちていた。
 そう、落ちていたのである。
 浜辺の波打ち際から少し離れた、草むらの中に。
 勿論、触っても大丈夫なのかを確認してからすぐ、海に戻せないかと試した。
 しかし出来なかったのだ。重たくて。
 もっちりアザラシはもっちり重量級だったのだ。
「どう、しましょう……」
 海の生き物であるアザラシが乾いていいのだろうか。
 今日は天気がよくて、背中がじりじりと乾燥していっているように見える。
「あっ」
 突然、アザラシがぽよんと跳ねた。
 メイメイの頭上を飛び越えて、離れた海の水面がぽちゃんと音を立てた。
 アザラシは消えていた。
 お餅の焼けるような、いい匂いだけを残して。
執筆:壱花

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